マーケティングの専門家らによると、大谷が国民的ヒーローである日本では、ファンたちは引き続き大谷への絶大な支持を示しつつ、じっと続報を待つ姿勢だ。
ニューヨークに拠点を置くスポーツマーケティング企業、トランスインサイトの創業者である鈴木友也代表はこう話す。「大谷の代理人ははっきり否定していますが、もし仮に大谷が水原の借金について知っていて、自分で(胴元側に)電信送金したのだとしても、大谷は相棒を助けようとしたのだから、大リーグ機構の賭博規定の違反に関しては(寛大な)処分をしてほしい、そう日本の人たちは思っています」
今回の問題に影を落としているのは、賭博にまつわる野球界の暗い歴史だ。1919年、伝説的な「シューレス(靴なし)・ジョー」ことジョー・ジャクソンを含むホワイトソックスの選手8人は、ワールドシリーズで八百長をしたとして起訴された。8人は公判で無罪の評決を言い渡されたが、大リーグ機構の初代コミッショナーに迎え入れられたケネソー・マウンテン・ランディスは、8人全員を球界から永久追放した。
1989年には、大リーグ歴代最多の通算安打記録を誇るピート・ローズが、レッズの監督を務めていた1987年のシーズン中に野球賭博に手を染めたとして、やはり永久追放処分を受けた。ローズは数年後、自伝で野球賭博をしたことを認めている。
水原にかけられている嫌疑は、警察当局、内国歳入庁(IRS)、大リーグ機構が捜査や調査を進めており、先行きは不透明だ。一方の大谷は、現在の収入はグラウンド外の活動に大きく依存している。大谷はドジャースと10年7億ドルという史上最高額の契約を結んだが、うち97%は繰り延べで支払われ、向こう10年間の年俸は200万ドル(約3億円)にとどまる。
JAGのグレラは大谷の会見について「彼はきょう、すべて打ち明けました」と述べ、こう続けた。「彼は力強く、きっぱり言い切りました。次に何が起こるかでこの先の彼のイメージは決まるでしょう。きっぱり言い切ったあとに続くものが新しい一章なのか、それとも暗い結果なのか、今後の展開を見守っていく必要があります」
(forbes.com 原文)