国内

2024.04.02 13:30

大転換期のモビリティ業界を支えるプラットフォーマーへ

(写真左)加藤道子|Woven Capital(同右)アージャブ・トリヴェディ|ライドセル

インド出身のアージャブ・トリヴェディは、2009年に米国サンフランシスコを本拠としてライドセルを創業。同社はカーシェアやライドシェアなどのフリート(商用車)事業を手がける企業に対して、IoTやAIを活用したクラウド型の車両管理プラットフォームを提供。欧米を中心に導入が拡大しており、同プラットホーム上で合計500万台の車両が管理されているという。

トヨタ自動車のグロース・ステージ・ファンドであるWoven Capitalは、21年6月にライドセルに出資した。同ファンドパートナーの加藤道子が投資した理由とは。

加藤:きっかけはトヨタ自動車の海外事業部からの紹介。Woven Capitalは2021年に設立されたのですが、実はそれ以前にライドセルはトヨタと北欧地域で協業を始めていたんです。アージャブとの初回面談では、とにかくマシンガントークがすごいという印象(笑)。未来を見据えたビジョンを語る姿に圧倒され、野心的でいいなと思いました。

トリヴェディ:お話しできることがうれしくて、つい熱がこもり過ぎてしまいましたね。道子さん自身もスタートアップの経営陣(ABEJA取締役CFO)を務めた経験をおもちで、いろんなことをオープンに話せたことがお互いの理解を深め、良い関係につながったと思います。

加藤:Woven Capitalは「未来のモビリティ」が主な投資テーマ。カーシェアやライドシェアが増えていき、車がネットワークでどんどんつながる世界になるなかで、ライドセルにはプラットフォーマーとしての可能性を感じました。また、私は自分の経験を踏まえて、チームのみんなが担ぎがいのある起業家かという点も重視しています。

社員や既存投資家の方ともディスカッションしましたが、「アージャブはチームに愛されているんだ」とみんなから尊敬されていたことも投資を後押しする要因になりました。起業家としての粘り強さという点でも、顧客によってニーズが異なるなかで、着実に関係を構築して成果を積み上げていることは評価に値します。

トリヴェディ:自動車業界のビジネスは、従来の所有型からリース、レンタル、シェアリングといった利用型へ、車もガソリン車から電気自動車(EV)へ大きな転換期を迎えています。こうした変化のなかで、持続可能なかたちで適切に車両を管理し、収益を生んでいくには、データとテクノロジー、そしてオペレーションへの深い理解が求められます。

私たちが提供しているのは、どの車両がどこにあり、どのような状態で、どう燃料を補充していくかといった車両管理だけでなく、バックエンドの財務などのシステムまでを結び付けて包括的にフリート事業に必要な業務を管理できるプラットフォームです。すでに欧米の大手が導入していて、過去2年間、会社の売り上げは倍増を続けています。
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文=眞鍋 武 写真=平岩 享

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年4月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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