その結果、人口が多い多くの地域でクレイジーな状況になっている。フェニックスでは、一戸建て住宅の価格の中央値は2019年以降に約40%高騰して45万ドル(約6800万円)になったが、世帯収入は2019年から2022年にかけてわずか6%しか上昇しなかった。ニューヨーク州ロングアイランドの直近の住宅価格の中央値は64万5000ドル(約9800万円)で、昨年2月から12%上昇した。Realtor.comによると、ダラス・フォートワース地域の市場に出ている住宅数は、2019年の3分の1以下になっている。
今年の見通しは?
レッドフィンのチダリル・フェアウェザーは、今年の住宅市場が複数の要因に左右されると述べている。「在庫は少ないままでしょう。それでも6月の金利の引き下げが、大統領選挙の直前に住宅購入者の購買力を後押しする可能性がある」と彼女は指摘した。住宅ローン金利が1%引き下げられれば、一般的な住宅購入者が約4万ドル高い住宅を購入できるようになるとフェアウェザーは試算している。
一方で「需要と供給をバランスさせる恒久的な方法は、より多くの住宅を建設することだ」と全米不動産協会のラウツはいう。しかし、全国の地域社会がさらなる建設を許可するかどうかについては懐疑的な見方が広がっている。バイデン政権が、200万戸の新築住宅を着工するという約束を果たせるかどうかも、まだわからない。
そんな中、鍵を握るのはベビーブーム世代だ。十分な数のベビーブーマーたちがダウンサイジングに踏み切れば、それが波及効果を生み、最終的には初めて住宅を購入する層が市場に参入できるようになる。「人々が同じ家にとどまる時間は変わりました。以前は6、7年でしたが今は10年です。人々は家にしがみつき、資産を築いているのです」とラウツは話す。
サウスカロライナ州のケントもその1人だ。住宅ローン金利が2.35%に下がることは二度とないかもしれない。それにケントには、長年住んでいるチャールストンの家に住み続ける理由がある。
「私は、住み慣れたこの街が好きなんです」と彼は話した。
(forbes.com 原文)