政治

2024.04.01

ロシア大統領選プーチン氏圧勝 Forbes Russiaが見た「真実の意味」

Contributor/gettyimages

ほぼ100%の投票を分析した結果によると、17日まで投票が行われたロシア大統領選挙ではウラジーミル・プーチンが87%以上の票を獲得し、記録的な投票率となった。ジャーナリストのグレブ・チェルカーソフ氏は、今回の選挙は意図された通り、事実上、現政権への信任を問う国民投票であったと話す。また、今回の選挙結果によって、プーチン氏が、ほとんどすべての決定を下すことが可能になったと指摘している。


ロシア大統領選の状況は、通常、投票結果集計後、数日で忘れ去られ始める。1996年のあの劇的な選挙の際にもそれは例外ではなかった。

16年後の2012年、退任するドミトリー・メドヴェージェフ大統領が突如、「ボリス・エリツィンはあの時の勝者ですらなかった」と発表したことで、この選挙はようやく人々の間ではっきり記憶されるようになったくらいだ。

選挙戦がロシア国民にすぐ忘れ去られてしまうのは、ロシアの大統領選挙の結果は「主要候補者が指名された時点ですでに決まっていること」が通常だからだ。そのため、終わった選挙戦の詳細よりも、その次に何が起こるか、勝者は勝利をどのように利用するのかの方が、はるかに国民の興味を引く。

大統領選は「忠誠心の全国的調査」だった

2024年の大統領選挙も例外にはなりそうにない。

今回の選挙戦は2022年2月に始まった。しかし、紛争が勃発した当初から、当局は「われわれに味方しない者はわれわれに敵対する者である」というメッセージを暗に伝えていた。そのロシア当局の暗示を明確にしたのは「2024年の大統領選挙は、選挙ではなく国民投票だ」というプーチン支持者の言葉にほかならなかった。

「公正なロシア」党首セルゲイ・ミロノフ氏は1月16日、次のように語っている。

「結局のところ、これは本質的に国民投票だ。ロシアの多国籍国民が、国家指導者である我が国の主要愛国者ウラジーミル・プーチンを支持するかどうかを問うものだ」

選挙運動の形態が変更されることはなかったが、要するに今回の選挙は、当局が追求する路線に対する「市民の忠誠心の全国的調査」として実施されたのである。実際に、現政界には真の反対者は誰1人残っておらず、投票用紙に載った他の候補者たちも繰り返し忠誠を誓っている。

このような状況では、投票結果は結果を保証する義務を負う個々の指導者の、現状の地位に対する適性さえ問うものとなる。たとえば中央選挙管理委員会は、大統領選への出馬を目指していた元下院議員ボリス・ナデジディン(ウクライナ侵略に反対の立場)について候補者登録を拒否し、ロシア最高裁判所もその決定を合法と認めた。

プーチン陣営は選挙戦のたびに、その強さと最終的な勝利への自信を示してきた。しかし今回は、過去の選挙戦と異なる点もあった。
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