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2024.04.02 09:45

ピーマン嫌い解消に有効な調味料 キユーピーが発表

リリースベース(松村)

Getty image

子どもは苦味や渋味を本能的に避けるため、それが野菜嫌いの一因になっているという。その代表格がピーマンだ。成長に欠かせない野菜を子どもたちにもっと食べてもらおうと、キユーピーはピーマンの苦味を感じるメカニズムの研究を続けてきたが、その仕組みの一端が見えた。さらに、ピーマンの苦味はマヨで抑えられることも実証された。

人間の舌には、甘味、うま味、苦味、酸味、塩味の5種類の味を感じる「味細胞」があり、その表面の味覚受容体がそれぞれの味を感知し、脳に報告して味を認識する仕組みになっている。厄介なのは、甘味やうま味の受容体は1種類なのに対して、苦味の受容体は25種類もあり、ごくわずかな苦味も感じられるという点だ。

ピーマンの苦味の元は「クエルシトリン」というポリフェノールの一種であることはわかっているが、それが25の苦味の受容体のどれに反応しているのかは不明だった。苦味は本来、毒の可能性を知らせる危険信号であり、動物に食べられたくない植物はせっせと苦味を作る。一方人間の側は、危険信号なので、ほんの少し苦いだけでも敏感に感じるようになっている。そのため、感度が高い測定器でなければ苦味を検知できないという問題があった。そこでキユーピーは、「人が感じる苦味を客観的に数値化できる計測技術」を開発し、苦味受容体の探索を実施した。
苦味受容体を導入した細胞にクエルシトリンを投与すると、TAS2R8が強く、TAS2R38が弱く応答した。

苦味受容体を導入した細胞にクエルシトリンを投与すると、TAS2R8が強く、TAS2R38が弱く応答した。

試験では、ヒトの25種類の苦味受容体を導入した培養細胞を作り、それぞれにクエルシトリンを与え反応の強さを測定。その結果、「TAS2R8」と「TAS2R38」という2つが強く応答していることがわかった。

これら受容体の応答を抑制できれば、ピーマンの苦味は低減できる。そこでキユーピーは、2016年に発表した「マヨネーズによる野菜の苦味低減効果」を、TAS2R8で検証した。実際には、マヨネーズに含まれる卵黄タンパク質の苦味低減効果だ。クエルシトリンと卵黄タンパク質の混合液をその受容体に投与したところ、応答が明らかに低下するという、マヨラーにはうれしい結果が得られた。
クエルシトリンのみとクエルシトリンと卵黄タンパク質の混合液を投与した結果。混合液のTAS2R8の応答値が大きく下がった。

クエルシトリンのみとクエルシトリンと卵黄タンパク質の混合液を投与した結果。混合液のTAS2R8の応答値が大きく下がった。

大人の場合、嫌いなら無理して食べる必要はないだろうが、ピーマンには抗酸化作用や血液さらさら作用、デトックス作用などがあり、美肌効果もあると言われている。マヨピーマン、試してみてはどうだろうか。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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