この問題では連邦当局や内国歳入庁(IRS)、大リーグ機構が捜査や調査を進めている。その結果に基づいて大谷に対して取られる措置は、大リーグ機構のルールでかなり明確にされている。
大リーグ機構は規約の第21条、通称「ルール21」で、賭博に関与した選手や審判員、球団・リーグ関係者に科す罰則を定める。選手組合と大リーグ機構は団体労使協定を結んでいるので、大リーグ機構側は調査に関する情報を逐次、組合側と共有していくことになる。一方、大谷自身は25日(日本時間26日)、今回の件について初めて記者会見を開き、水原について「信頼していた方の過ちというのを悲しく、というかショックです」と心境を吐露した。
捜査や調査の結果、大谷がどうなるかは、ルール21に基づくと次の4つが考えられる。
1. 大谷が窃盗の被害者だった場合
大谷が会見で語ったこと、あるいはその語り方は、今後の展開で重要な意味をもつ。大谷はこの席で、「わたしの知る限り」や「わたしの記憶では」といった、ある種の「逃げ」の余地を残した言葉をいっさい使わなかった。大谷はきっぱりこう言った。「僕自身は何かに賭けたりとか、誰かに代わってスポーツイベントに賭けたりとか、それを頼んだりということはないですし、僕の口座からブックメーカーに対して、誰かに送金を依頼したこともまったくありません」
大谷はまた、水原との間で起きていることについて初めて知ったのは、韓国のソウルで行われたパドレスとの開幕シリーズ第1戦後のチームミーティングだったとも説明した。このミーティングの時まで、「僕は一平さんがギャンブル依存症だと知らなかったし、借金をしていたことも知りませんでした」と話した。
捜査や調査の状況からして、大谷は引き続きドジャースの試合に出場するとみられる。「シーズンに向けてまたスタートしたい」と、大谷は読み上げた声明を締めくくっている。
大谷が説明したように、自身が犯罪の被害者であることが判明すれば、大谷へのペナルティーはない。むしろ、大谷には同情がさらに寄せられるだろう。大谷はいまでも用心深いが、親しい友人と信じていた身近な人間に裏切られたのだとすれば、今後はいっそう用心深くなりそうだ。