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2024.03.27

賭博問題に巻き込まれた大谷翔平、今後どうなるのか 4つのシナリオ

大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手(左)と元通訳の水原一平氏(中央)。2024年2月27日、米アリゾナ州グレンデールで=ゲッティイメージズ

米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手の通訳だった水原一平と、カリフォルニア州オレンジ郡で胴元のマシュー・ボウヤーが営んでいた違法賭博をめぐる問題は、ますます奇っ怪な話になってきている。水原はスポーツ賭博で巨額の負債を抱え、大谷の口座から450万ドル(約6億8000万円)を支払ったとされる。大リーグには1919年のブラックソックス事件(編集注:ワールドシリーズでホワイトソックスの選手たちが八百長に手を染めたとされる事件)にさかのぼる賭博問題の歴史があるだけに、スポーツ界全体に動揺が広がっている。

この問題では連邦当局や内国歳入庁(IRS)、大リーグ機構が捜査や調査を進めている。その結果に基づいて大谷に対して取られる措置は、大リーグ機構のルールでかなり明確にされている。

大リーグ機構は規約の第21条、通称「ルール21」で、賭博に関与した選手や審判員、球団・リーグ関係者に科す罰則を定める。選手組合と大リーグ機構は団体労使協定を結んでいるので、大リーグ機構側は調査に関する情報を逐次、組合側と共有していくことになる。一方、大谷自身は25日(日本時間26日)、今回の件について初めて記者会見を開き、水原について「信頼していた方の過ちというのを悲しく、というかショックです」と心境を吐露した。

捜査や調査の結果、大谷がどうなるかは、ルール21に基づくと次の4つが考えられる。

1. 大谷が窃盗の被害者だった場合

大谷が会見で語ったこと、あるいはその語り方は、今後の展開で重要な意味をもつ。大谷はこの席で、「わたしの知る限り」や「わたしの記憶では」といった、ある種の「逃げ」の余地を残した言葉をいっさい使わなかった。

大谷はきっぱりこう言った。「僕自身は何かに賭けたりとか、誰かに代わってスポーツイベントに賭けたりとか、それを頼んだりということはないですし、僕の口座からブックメーカーに対して、誰かに送金を依頼したこともまったくありません」

大谷はまた、水原との間で起きていることについて初めて知ったのは、韓国のソウルで行われたパドレスとの開幕シリーズ第1戦後のチームミーティングだったとも説明した。このミーティングの時まで、「僕は一平さんがギャンブル依存症だと知らなかったし、借金をしていたことも知りませんでした」と話した。

捜査や調査の状況からして、大谷は引き続きドジャースの試合に出場するとみられる。「シーズンに向けてまたスタートしたい」と、大谷は読み上げた声明を締めくくっている。

大谷が説明したように、自身が犯罪の被害者であることが判明すれば、大谷へのペナルティーはない。むしろ、大谷には同情がさらに寄せられるだろう。大谷はいまでも用心深いが、親しい友人と信じていた身近な人間に裏切られたのだとすれば、今後はいっそう用心深くなりそうだ。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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