「トランプ・メディア」上場でにわかに注目を集めるSNS企業3社の株価

Photo by Michael M. Santiago/Getty Images

トランプ前大統領が率いるSNS企業、トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(TMTG)は3月26日、特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じて米ナスダックに上場。株価は一時59%近く上昇し、上場初日の取引を16%高で終える好調な出だしだった。

トランプ・メディアの時価総額は約80億ドル(約1兆2000億円)に達した。同社は、Snapchatの親会社のSnap(スナップ)やPinterest(ピンタレスト)、掲示板サービスのReddit(レディット)、そしてフェイスブックとインスタグラムを支える1兆ドル規模の巨人のメタに続く、株式を上場させたSNS企業の1つとなった。

しかし、26日に株価を上昇させたSNS企業は、トランプ・メディアだけではなかった。この日にわずかに値を下げたメタの株を除けば、この分野の企業の株はジリジリと上昇している。レディットの株価は26日に9%上昇し、時価総額は104億ドルに達し、21日の新規株式公開(IPO)時の評価額65億ドルを60%も上回った。

スナップとピンタレストの株価も、先週それぞれ3%強上昇したのに続いて26日に上昇し、ハイテク株の多いナスダック総合株価指数を上回るパフォーマンスを記録した。

しかし、トランプ・メディアとレディットの投資家は勢いづいているかもしれないが、この分野の企業のIPOには注意すべきだ。スナップの株価は2017年のIPO初日のピークを約60%下回り、ピンタレストの株価も2019年のIPO初日の高値を39%下回る水準で取引されている。かつてツイッターとして知られていたXも同様で、イーロン・マスクが同社を非公開化する直前の2022年初頭に、2013年のIPO初日のピークから約10%低い水準で取引されていた。

一方、メタは唯一の例外で、同社の株価は2012年のIPO以降に1200%も上昇している。

トランプ・メディアの株価の上げ幅は、上場初日に新興の同業他社を上回ったかもしれないが、収益面はかなり見劣りする内容だ。同社の2023年1~9月の総収入は340万ドルと報告されており、同期間のレディットの5億5500万ドルや、ピンタレストの21億ドル、スナップの32億ドルよりもはるかに低い。レディット、ピンタレスト、スナップの月間アクティブユーザー数はいずれも数億人で、トランプ・メディアのTruth Social(トゥルース・ソーシャル)の月間ユーザー数500万人をはるかに上回っている。

メタは別として、ほとんどのSNS企業はその巨大なリーチを大きな利益につなげることに失敗しており、2023年のレディットやピンタレスト、スナップの各社の収益はいずれもマイナスだった(トランプ・メディアは2023年の最初の3四半期で4900万ドルの損失を記録)。トランプ・メディアの時価総額約90億ドルは、レディット(時価総額100億ドル)とほぼ互角で、ピンタレスト(同240億ドル)とスナップ(同190億ドル)には及んでいない。

トランプ・メディアの58%から69%を所有するトランプは、今回の上場で保有資産を3倍に増やし、約75億ドルに成長させたとフォーブスは試算している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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