笑いながらそう語るのは、タレントとしても活躍する鈴木香里武(すずきかりぶ)さん。名付け親が芸人の明石家さんまさんであることは、知る人ぞ知るエピソードだ。
ほとんどの人が聞き慣れない「岸壁幼魚採集家」という肩書き。何でも、香里武さんは幼魚という小さな生き物に惚れ込み、人生をこじらせてしまったらしい。「幼魚の魅力に気づいて!」と熱弁するそのワケは……。
話を聞いたのは……
鈴木香里武●タレント、株式会社カリブ・コラボレーション代表取締役社長、岸壁幼魚採集家、幼魚水族館館長。
「カリブでええやん」さんまさんの冗談が本名に
「鈴木香里武は本名です。僕の両親はラジオ番組の制作に携わっているんですが、カリブ海に新婚旅行に行った報告をお世話になっていた明石家さんまさんにしたところ、『子供の名前はカリブでええやん』と言われたそうで(笑)。
ご本人は冗談でおっしゃったのかもしれませんが、2人は本気にして僕を香里武と名付けました」(鈴木香里武さん、以下同)。
苗字がスズキで、名前がカリブ。言われてみれば、名付け親のさんまさんの名も魚である。さらには、生まれの星座はうお座で、まさに魚づくしだ。
「もう、海のことをやるしかないっていう人生です(笑)。いまは岸壁幼魚採集家であり、北里大学の大学院で幼魚の研究をしながら、静岡県の幼魚水族館の館長をしています」。
漁港は、気軽に幼魚に出会える“足元の海”
「岸壁幼魚採集家」とは読んで字の如く、岸壁にいる幼魚を採集し、研究する専門家だが、香里武さんが幼魚を採集する岸壁とは主に「漁港」だという。
「海が好きな両親は、よく漁港に連れて行ってくれたんです。普通は、ビーチや水族館に行きますよね。でも、漁港の方が簡単に海の生物に出会えることに気づいたんでしょうね」。
これまで採集した海洋生物は500種以上。その知識は、海のように広く深い。
「漁港は、まさに『足元の海』ですね。岸壁にかけられた梯子や船止めに使われるタイヤ、コンクリートの割れ目など、幼魚が隠れる場所がいっぱいあるんです。大きな魚が入ってこれないのも強み。
泳げるようになってすぐにサバイバルを強いられる幼魚にとっては、敵から守ってもらえる安全な場所になるし、餌になるプランクトンも多い。彼らにとってはパラダイスなんですよ」。
寝返りを打つ前から漁港に通っていた香里武さんは、いつしか片手にたも網を持ち、もう片方の手で哺乳瓶を持って遊んでいるような子供になっていたという。
「漁港で壮大な金魚すくいをして、持ち帰った幼魚を家で飼育する生活でした。中学生になる頃にはすっかり彼らの魅力にハマってましたね」。