もちろん、姿を消したのには相応の理由があるけれど、とはいえ、車の魅力そのものが否定された訳じゃない。
もはや中古車でしか手に入らなくなった“消えた名車”たちをチェックしてみよう。
時代に爪痕を残したトヨタ「C-HR」
デザインコンシャスなコンパクトSUVとして2016年に登場すると、一気に人気車となったトヨタ「C-HR」。経済的な1.2Lターボや1.8Lハイブリッドシステムを搭載し、街乗りにちょうどいいサイズ感、他の国産SUVにはない個性的な見た目。ヒットするのも当然だったのだが、次第に雲行きが怪しくなっていった。
その“雲”とは、同じトヨタから2019年に出たちょっとだけ小さい「ヤリスクロス」と、2021年に出たちょっとだけ大きい「カローラクロス」だろう。
C-HRほどではないにせよ、どちらも見た目は個性的だし、ちょい小さいヤリスクロスでさえC-HRよりラゲッジ容量が大きいなど、使い勝手にも優れていた。
結果、C-HRの販売台数は伸び悩み、2023年7月に生産が終了した。
一方、日本同様にC-HRの人気が高かった欧州では、2023年6月に2代目が発表され、既に販売も開始されている。確かにC-HRの名を受け継ぐ車として十分攻めたデザインだけど、初代のアニメロボ的なデザインは、今見ても斬新だ。
もしかしたら日本人の我々は、あまりにも売れすぎて街にあふれ、時につまらなくに感じるようになったのかもしれない。だから流行がひと回りくらいしたら、きっと再評価されるのでは!?
それくらい、後世に名を残すような車のひとつじゃないだろうか。
“ちょっと先の未来”を提案した「ホンダe」
ホンダ初の量産BEV(電気自動車)として2020年に販売が開始された「ホンダe」だが、わずか3年で生産が終了。理由は「価格が高い割に、走れる距離が短い」からとも言われる。何しろの日産リーフ(40kWh)が322km走れるのに対し、ホンダeは259km/283km。そしてリーフより100万円以上高かったのだ。
けれどホンダeは、いわば「ちょっと先の未来にピッタリな車」の“コンセプトカー”だ。だからサイドミラーもカメラ方式だし、スマホがデジタルキーになり、クラウドAIを使った音声認識機能も搭載するなど、最新技術がたっぷり投入された。
それに航続距離が短いのは「距離を延ばすために電池をたくさん積んだら、その分“電費”が悪くなる」という考えから。それって本当にエコ?と、あえて街乗りBEVに特化して開発されたのだ。
ただ、わずか3年で生産が終了することになったのは、同社の提案は少し未来過ぎたのかもしれない。
しかし、いずれホンダeの描いた「ちょっと先の未来」が訪れれば、もっと評価されるんじゃないか!? そう思った筆者は、思わず購入しちゃいました(笑)。