カルフーンCEOは、今年1月5日に米アラスカ航空が運航していたボーイング製小型旅客機737型「MAX9」のドアが飛行中に吹き飛んだ事故が「転機」となったとし、退任を表明。その上で、ボーイングは「謙虚に、透明性をもって」対応し続けるとともに、社内のあらゆる段階に安全性と品質に対する姿勢を植え付けなければならないと述べた。同CEOは米CNBCの取材に対し、退任は「100%」自らの決断によるものだと打ち明けた。
カルフーンCEOは2009年からボーイングの取締役を務め、CEO就任前の19年後半に会長に就任。英ロイター通信によると、20年にCEOに就任したカルフーンCEOの任期を延長するため、ボーイングは21年4月、定年退職年齢を65歳から70歳に引き上げていた。同CEOは現在66歳。
米誌ウォール・ストリート・ジャーナルが情報筋の証言を基に報じたところによると、米司法省は今月初め、アラスカ航空の事故について刑事捜査を開始した。米連邦航空局(FAA)はボーイングに対し、組織全体の品質管理の問題を改善する新たな安全計画を5月までに起草するよう命じている。
ボーイング製航空機の安全性を巡る精査が続く中、他の幹部も退任の意向を表明した。同社のラリー・ケルナー取締役会議長は年次株主総会で再選を求めず、スティーブ・モレンコフを後任に指名。民間機部門を率いるスタン・ディールも25日付で退任し、後任にはステファニー・ポープが就任する。
同社のデニス・ミューレンバーグ前CEOは、18年と19年に相次いで発生し、計346人が死亡した2件のボーイング機墜落事故の責任を問われ、19年12月に解任された。
今年1月のアラスカ航空の事故以来、ボーイングはFAAと米国家運輸安全委員会(NTSB)の監視下に置かれている。NTSBは今月、ボーイング737型「MAX8」の操縦ペダルが作動しなくなった別の事故についても調査を開始している。
(forbes.com 原文)