北米

2024.03.25

「金欠」トランプ、保有不動産を屈辱の出血大セールか

Evan El-Amin / Shutterstock.com

民事訴訟の保証金などをめぐりドナルド・トランプ前米大統領が資金繰りで窮地に立たされている。ニューヨーク州の司法当局が起こした裁判で、長年にわたる詐欺行為に関して自身と一族企業の責任を認定され、罰金4億6000万ドル(約700億円)近くの支払いを命じられたトランプは、罰金の全額を支払うか同額の保証金を納める必要がある。だが手元資金が足りず、保険各社から不動産を保証金の担保にすることも拒まれているもようだ。

トランプの弁護団は先週、保証金を全額納付するのは「事実上不可能」だと法廷で主張した。トランプは、性的暴行と名誉毀損の2つの裁判で敗訴した作家のジーン・キャロルへの賠償金8830万ドル(約134億円)の支払いも命じられており、この訴訟では控訴のために9160万ドル(約139億円)の保証金を納めている。

トランプの窮状は刻一刻と深まっている。罰金の利息が膨らみ続けるなか、ニューヨーク州司法長官の事務所は21日、ウェストチェスター郡に詐欺の判決を提出し、トランプの資産差し押さえに向けて最初の手続きを行った。手続きが進めば、ブライアクリフマナーにあるゴルフ場「トランプ・ナショナル・ゴルフ・クラブ」、ベッドフォードにある「トランプ・セブン・スプリングス」の邸宅など、トランプが州内に保有する不動産が差し押さえられる可能性がある。

トランプ・ナショナル・ゴルフ・クラブ(Matthew Simmons/Getty Images)

トランプ・ナショナル・ゴルフ・クラブ(Matthew Simmons/Getty Images)

裁判所による救済がない限り、トランプは資産を差し押さえられたくないのであれば一部の不動産をタイトなスケジュールで売却せざるを得なくなるかもしれない。だが、それもまた容易ではない。

弁護団は資産の「投げ売り(ファイアセール)」は「巨額で回復不可能な損失」につながると訴えている。また、不動産王である前大統領本人も、自身のソーシャルメディアであるトゥルース・ソーシャルで「投げ売り価格」に言及しつつ。相次ぐ訴訟は「魔女狩り」「選挙妨害」だと主張した。

仮にトランプが資産の投げ売りを余儀なくされることになれば、手っ取り早く売るのに最適な不動産は何だろうか。トランプの不動産ポートフォリオは米国各地にある商業用不動産や住宅、ゴルフ場、リゾートのほか、欧州やカリブ海地域にある少数の不動産で構成され、フォーブスの直近の推定によれば昨年9月時点で19億ドル(現在の為替レートで約2900億円)あまりの価値があると評価されている。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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