宇宙

2024.03.27 15:00

重力波で探る「ブラックホール連星の合体」研究の最前線

実際の天文学的な応用について

ランベールによると、数十億光年の距離にある特定の銀河の位置を突き止めるのに利用できるかもしれないという。

LVKコラボレーションは、ブラックホールの合体を検出し続けている。だが、この中に太陽の80倍と非常に大きな質量を持つブラックホールもあると思われる事実に、LVKは困惑している。

これについては、いわゆる「第2世代」の合体ブラックホールかもしれないと考えていると、ランベールは説明した。合体を2度、3度と繰り返してから、この2つが再び合体すると、本当に大きな質量を持つブラックホールになる可能性があると、ランベールは指摘している。

日本の重力波検出器KAGRAの3km真空ダクト(NAOJ)

日本の重力波検出器KAGRAの3km真空ダクト(NAOJ)

どのような方法で測定するか?

重力波が検出器を通過すると、時空に小さな乱れが生じることにより、検出器の2つの測定用物体間の距離がまさしく変化する。この乱れは、検出器の直交するアームに沿った光のパターンが変化することで示される。

光のパターンが変化すれば、距離が変化したことがわかると、ランベールは説明した。

重力波はどのように放出されるか?

ランベールによれば、ブラックホールが単一で存在すると、周囲のあらゆるものと重力的に相互作用するだけだ。だが、星団が存在すれば、比較的小さな体積の中に膨大な恒星やブラックホールがある可能性がある。

2つのブラックホールが適当な距離だけ離れていれば、互いに公転して重力波を放出すると、ランベールは説明する。重力波を発することにより、2つのブラックホールはエネルギーを少し失い、少し近づく。ブラックホールが近づくほど、より多くの重力波を放出するため、それによって2つはさらに接近することになると、ランベールは説明する。

2つのブラックホールが合体するのにかかる時間はどのくらいか?

ランベールによると、わずか1日(24時間)の周期で互いを公転している2つの大型ブラックホールは、その状態が数百万年続く可能性がある。周期が1時間だとすると、この状態で10万年間公転し続けるだろう。そして公転周期がわずか1秒になると、ほんの数分で合体すると、ランベールは話した。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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