欧州

2024.03.25

ロシアのミサイルがポーランド領空に侵入

ロシアのミサイルが自国の領空に侵入したことを受け、記者会見に臨むポーランドのブワディスワフ・コシニャクカミシュ副首相兼国防相。2024年3月24日撮影(Beata Zawrzel/NurPhoto via Getty Images)

ポーランド軍は24日、自国の領空にロシアの巡航ミサイルが39秒間侵入したと発表した。

ミサイルは現地時間午前4時23分、ウクライナとの国境に隣接する南東部オセルドフ近郊のポーランド領空に侵入。北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるポーランドは、自国と同盟国の軍用機が発動したと発表した。ポーランド軍のヤチェク・ゴリシェフスキ報道官は記者会見で、ミサイルはポーランド領空を約2キロ通過した後、ウクライナに再突入したと説明した。

英ロイター通信によると、今回の侵入は、ウクライナのインフラストラクチャー(社会基盤)を標的とした早朝の激しい攻撃の中で発生した。この攻撃では、ウクライナ西部リビウや首都キーウなどで、57機のミサイルや無人機が確認されている。

これに関し、ロシア政府は声明を出していない。同日朝の時点でNATOもコメントしておらず、フォーブスの取材にも応じなかった。

ポーランドとNATOのレーダーシステムは、昨年12月にもロシアのミサイルがポーランド領空に侵入したことを検知している。ポーランド軍によれば、ミサイルは同国東部を約39キロ通過し、約3分後に領空を離れた。これを受け、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は引き続き警戒すると述べ、状況を監視することを約束した。

同事務総長は今月中旬、ベルギー・ブリュッセルのNATO本部でポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領と会談し、米国製のミサイル防衛システムを同国に配備することで合意した。NATOの前方展開強化の一環として、ポーランドは推定1万人の米軍兵を受け入れている。

今回のポーランド領空へのミサイル侵入は、ロシア軍が数日間にわたってウクライナへの空爆を強める中で起こった。ウクライナ軍は92の標的を撃墜したが、撃墜できなかったミサイルと無人機によって発電所が攻撃され、国内で広範囲な停電が発生した。ウクライナ最大の発電ダムを有するドニプロ水力発電所には8発のミサイルが命中し、南東部ザポリージャ原子力発電所でもミサイルによって送電線が切断された。ロイター通信によると、送電線は22日朝に修復された。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はX(旧ツイッター)に動画を投稿し、この一連の攻撃を「凶悪」だと非難。政府は国内第2の都市ハルキウをはじめとする各地の電気、水道、暖房の復旧に取り組んでいると述べた。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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