モスタークは、先にロサンゼルスで開催されたAbundance360カンファレンスにスピーカーとして参加していたが、その際、業界の仲間にその計画を私的に明かしていたという。
Stability AIはモスタークの辞任を認めるプレスリリースを発表した。シャン・シャン・ウォン最高執行責任者(COO)とクリスチャン・ラフォルテ最高技術責任者(CTO)が暫定的な共同CEOに任命され、取締役会は新たなCEOを探すと発表した。モスタークも取締役会の席を退いた。プレスリリースによれば、彼は今後「分散型AI」を追求するというが、それ以上の詳細はない。
モスタークが、自身の創業した企業のCEOを辞任するという決断は、Stabilityの最も人気のある製品である、テキストからの画像ジェネレーター「Stable Diffusion」を支えてきた主要な研究者たちの退社を受けて、従業員の不満の高まりが頂点に達した直後に行われた。同じ週に、戦略的パートナーシップを率いていたタイラー・サルツマンも辞任している。フォーブスに情報を提供した5人の関係者によれば、サルツマンの決定はStability AIの失敗した商業化努力に対するフラストレーションによるものだと示唆されている。関係者によれば、彼は自身の会社を立ち上げる計画であり、その会社は暫定的に「Edge」(エッジ)と名づけられているという。
Coatue(コアチュー)やLightspeed Venture Partners(ライトスピード・ベンチャー・パートナーズ)などのStability AIの投資家は、昨年秋以降、モスタークにCEOの座を明け渡すよう求めていたと、事情に詳しい4人の関係者が述べている。その後、人事責任者のオズデン・オンデル、法務顧問のアダム・アブルニン、応用機械学習担当副社長のジョー・ペンナなど、多くの幹部が同社を去った(これらの幹部にはコメントを求めることができなかった)。
モスタークは、Stable Diffusionのバイラルな成功のおかげで、人工知能分野がちょうど注目を集め始めた頃、この業界の重要人物として浮上した。しかし、フォーブスが昨年初めて報じたように、彼の学歴、Stable Diffusionの開発へのStability AIの関与、業界での実績について誇張や過大表現をしたという非難によって、彼のイメージは損なわれていた。それでもモスタークは、Stability AIのために10億ドル(約1514億2000万円)の評価額で1億ドル(約151億4000万円)以上の資金調達を行うことができた。
しかし、1年もしないうちにStability AIは急速に資金を使い果たしていた。ブルームバーグが以前報じたところによると、2023年10月の時点で、同社は毎月約800万ドル(約12億1000万円)を使っていたという。情報筋が昨年フォーブスに語ったところによれば、40億ドル(約6056億8000万円)の評価額での追加資金調達の試みはほぼ失敗に終わっている。
それでもなお、モスタークは公には勇敢な顔を見せていた。「私たちの目標は、今年中にキャッシュフローを黒字にすることです」と彼は2月にReddit(レディット)に書き込んだ。
(forbes.com 原文)