経済

2024.03.23 13:00

インド、米制裁対象の船舶によるロシア産原油の受け入れ停止

フィンランド・ヘルシンキ港に停泊するロシア海運企業ソフコムフロートの船舶。2017年7月26日撮影(Getty Images)

フィンランド・ヘルシンキ港に停泊するロシア海運企業ソフコムフロートの船舶。2017年7月26日撮影(Getty Images)

インドの石油企業は、米国の制裁対象となったロシア最大の海運企業ソフコムフロートが運航する船舶によるロシア産原油の受け入れを停止した。米ブルームバーグ通信が22日、報じた。ロシアがウクライナに侵攻を開始して以降、インドはロシア産原油の最大の輸入国の1つとなっていたため、この動きはロシア経済に打撃を与える可能性がある。

ブルームバーグによると、インド最大の石油企業である国営インディアン・オイル(IOC)をはじめ、国営・民営を含む同国のすべての石油企業が、ソフコムフロートの船舶が運ぶロシア産原油の引き渡しを停止した。

インドの石油企業は、ソフコムフロートを含む制裁対象の企業が運搬したものでないことを確認するため、すべての船舶を検査している。この検査により、他の船舶によるロシア産原油の引き渡しも中断され、いつ引き渡しが可能になるのか明確なめどが立たないまま、数週間にわたりインド沖で待機を余儀なくされているという。

英ロイター通信は21日、インドの大手財閥で世界最大の石油精製所を運営するリライアンス・インダストリーズも、ソフコムフロートの船舶による原油の受け入れを拒否したと伝えた。リライアンスはロシアの供給業者に対し、制裁対象となっているソフコムフロートの船舶を今後の納入に使用しないよう要請した。

いずれの企業もこの件について公にはしておらず、両報道が引用した情報筋によれば、この問題は内密で慎重に取り扱うべきものとされている。

米政府は先月、ロシアの野党指導者アレクセイ・ナワリヌイが獄中で死亡したことを受け、500件もの対ロシア追加制裁を発表した。ジョー・バイデン米大統領は、ロシアの金融機関や防衛産業に加え「複数の大陸にまたがって制裁を逃れている者」を標的にすると表明した。米財務省は、ロシアが原油輸出から得る収入を減らすため、ソフコムフロートも制裁対象に加えたと発表。同社に関連する14隻の原油タンカーを特定し、制裁対象とした。

ウクライナ侵攻を巡って欧米諸国がロシアに制裁を科す中、インドはこの2年間、ロシア産原油の主要輸入国となってきた。フィンランドのシンクタンクCREAによると、今年2月時点でインドは中国に次ぐ世界第2位のロシア産原油輸入国だった。インドにとって、ロシアは最大の原油供給国でもある。欧米からの圧力にもかかわらず、インド政府はこれまで、物価上昇を抑制するために安価なロシア産原油に依存してきた。

ブルームバーグは先月、インドはロシアから安価に輸入した原油を精製して欧米に輸出しており、石油市場の主要国として台頭しつつあると報じていた。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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