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2024.03.29 11:00

2度の起業失敗から再チャレンジ。年商35億円を超えるエレビスタCEOが創造する再エネの未来

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メディア運営とWEBマーケティングを事業軸にスタートしたエレビスタは、19年に実施した太陽光発電投資売買プラットフォーム「SOLSEL」の買収を皮切りに、再生可能エネルギー事業を展開。22年には売上約35億円を達成した。

2023年12月には投資ラウンドのシリーズAにおけるファーストクローズで、合計約4.5億円の資金調達を実施。

設立から12年目を迎える今、同社がクライメートテック領域で目指す未来について、CEOの石野拓弥(以下、石野)に、話を聞いた。

石野が人生を賭けて登る山とは

エレビスタは社員数約30人、平均年齢28歳という若きベンチャー企業でありながら、今回の資金調達まで一度も外部からの支援を得てこなかった。にもかかわらず、なぜ同社は参入から5年足らずの太陽光発電業界で注目される存在となったのか。

まずは石野の起業家としての歩みから紐解いていく。

石野は09年7月、千葉大学在学中に起業。Webマーケティング事業で年商2億円を達成した段階で辞任し、11年に別会社に入社。役員としてWebマーケティングの社内ベンチャーを立ち上げ、月1億円ほどの売上を叩き出した。だが石野は「当時は売り上げを出すことだけを目的に突き進んでしまっていた」と振り返る。

実績を上げることに集中するあまり仲間と間にズレが生じ、売上は好調だったにも関わらず2社とも自ら会社を離れることに。多忙な生活から解き放たれた石野はその後、内省する日々を送ることとなる。

「もともと自分は生来の気質で、納得のいかない決まりやしがらみが嫌いな人間です。人生を振り返ってみると、不平等なルールや利権を取り払って、世の中をより良い場所にしたいという思いが自分の原動力だと気がつきました。

次こそ、この思いを実現できる会社をつくりたいと心を決め、エレビスタを創業しました。とはいえ、人生を懸けたいと思える事業はまだ見つけられなかった。そこで、あらゆる業界に横軸で関われるWebマーケティングを主要事業とし、そこから登るべき山を探すことにしました」

石野にとってWebマーケティングは2度の成功実績がある。これまで培った知見や人脈を武器に、美容医療やフィットネス業界など多岐にわたる企業と契約し、創業メンバー4人でがむしゃらに売上を上げた。その後、現在の再生可能エネルギー事業のきっかけとなる「SOLSEL」の買収へと動き出す。

「マーケティング調査の一環で再生可能エネルギー領域について知ったとき、これこそ自分の人生を懸けるべき事業だと感じました。社会的意義があり、しがらみのないより良い世の中を作るためには、未来ある新しい領域がぴったりです。早速『SOLSEL』を買収し、収益モデルを売買仲介から買取再販に変更。単に流通を促進するのではなく、本気で太陽光発電の拡大に努めたかったためです。デジタル領域での開発力を活かし、翌年にはアプリ版をリリースするなど、無我夢中でした」
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エレビスタ CEO 石野拓弥

石野が新規事業に精魂を傾ける一方で、足元にはひとつの影が広がり始めていた。社員とのコミュニケーションが希薄になり会社が目指すべき方向性を周知できず、退職する社員が増加。石野はエレビスタでも、以前と同じ状況をつくり出してしまう。

しかし、石野の「世の中をより良くしたい」という想いに共感し、背中を押すものもいた。そのひとりが現在のCOO芳川光太郎(以下、芳川)だ。

「自分は目標達成のために、周りを顧みず突き進んでしまうところがある。そこで芳川と会話を重ね、組織運営を彼に一任することにしました。私が事業の舵をとり、彼が組織をつくる。それぞれが得意とする分野に集中できる体制を整えることで、ようやく組織が一体となり動き出すことができました」

石野は芳川の存在を「優秀な右腕ではなく、背中を預けられるパートナーだ」と語る。こうしてエレビスタは、これまで培ってきたマーケティングとデジタルの知見を活かし、再生可能エネルギー事業で頭角を表していくことになる。

発電量を最適化し再生可能エネルギー比率の向上を目指す

日本の発電は1970年から火力に依存し続けており、22年でも発電量の8割近くが火力発電となっている。しかし、この構成比に影響を与え始めているのが太陽光などの再生可能エネルギー発電だ。環境エネルギー政策研究所の発表によると、22年にはこれらのエネルギーによる発電量が全体の14.5%を占め、過去最高のシェア率となった。

エレビスタは時代に呼応するように、太陽光発電に関するサービスを次々に展開。

20年に「SOLSEL」のアプリ版をリリースし、翌21年には発電データ監視ツールのアグリゲーションサービス「まとめてソーラー」の運営を開始。実績をもとにした売電収入予測や売却価格予測の機能などのオリジナル機能で競合優位性を獲得した。

22年8月には、低単価・手間要らず・少量から購入可能など、購入企業側の負担を軽減した環境価値の調達代行「OFFSEL」の提供をスタート。勢いに乗るエレビスタは、23年12月に合計約4.5億円の資金調達に成功し、その時点における「SOLSEL」の累計取扱総額は1,400億円を超えた。

資金調達後の展開について石野は次のように語る。

「まずは上場ですね。加えて再生可能エネルギーのプラットフォーマーになりたいと思っています。そのためにはまず、太陽光発電の事業拡充を目指し、3つの領域を固めていきます。

現在中古の太陽光発電所を扱っていますが、そのパイを広げ流通の拡大を実現する。次にリパワリング事業で発電量の最大化。各種機器のアップグレードや追加によって発電効率を改善し、発電量を増大させるという取り組みです。そして3つ目が最新技術の導入。リパワリングに近い分野にはなりますが、発電量を最適化できる技術を積極的に取り入れ、現場に導入していきたいと考えています」

エレビスタの強みは、再エネ領域にデジタルの技術を掛け合わせることで新しいサービスを提供していくことにある。

「我々がプラットフォーマーになるために、Webマーケティングで培ったDXの経験やUX設計の技術をフル導入する予定です。例えば、太陽光発電所の売買やリパワリングには『まとめてソーラー』など既存サービスで蓄積したビッグデータを活用していきたい」

上場は27年ごろを想定しているという。石野は、「まずは焦らず再生可能エネルギー事業をより強固にしていきたい」と語りながらも、上場後にはさらに実現したい目標があると目を輝かせた。

資金調達を追い風にチームで上場を狙う

今後も再生可能エネルギー事業を拡張していくエレビスタでは、どのような人材が活躍できるのか。石野に尋ねると「素直でいいやつですね」と返ってきた。

「尊敬しているサイバーエージェントから言葉をお借りして、『素直でいいやつ』を採用基準のひとつにしています。ダイレクトな表現なので掘り下げると、会社のカルチャーに自らをフィットさせにいくスタンスとも言えます。

エレビスタには、『コミュニティカルチャー』と『ビジネスカルチャー』という2つの文化があります。コミュニティカルチャーは、全社員が顔を合わせることで自然と交流が生まれる文化。ビジネスカルチャーは、個性あるメンバーが互いを尊重しながら『方向×高さ(視座)×期間×本気度』を一致させる文化です。

両方ともぴったり合えばもちろん最高ですが、合わない部分があっても、自らフィットさせにいくスタンスがあるかどうかが重要だと思います」
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新たな事業展開のタイミングでも、石野は「採用基準は変わらない」と話す。欲しいスキルや経験を取り入れるのではなく、秀でた一面を持つ人材とカルチャーでつながり合い、より柔軟で強靭なチームになることを重視しているようだ。

経済産業省の資源エネルギー庁は、2030年における再生可能エネルギーの導入目標を36〜38%(うち太陽光は14〜16%程度)としている。年々存在感を増す再生可能エネルギー分野が、石野の語る「世の中をより良い場所に」の最初の舞台となるのだろうか。

石野は、再生可能エネルギー分野を「社会的意義の高い、人生を懸けて登るべき山」と表現した。

「チームで一丸となれば、より高くまで登れる。そこから見える景色も、より良いものになると思っています」

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Promoted by エレビスタ | text by Honami Kawakami | photographs by Daichi Saito | edited by Aya Ohtou(CRAING)

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