NTTでは6億パラメータの超軽量版のtsuzumiを開発しているので、技術的・理論的にはモバイル端末やロボットに載せることは可能だと宮崎氏は説く。一方で宮崎氏は「それを実現することによってtsuzumiがどのようなユーザー体験と社会的価値を生み出せるのかを考えることが大事」なのだと続けた。
NTTグループでは「IOWN構想」の下、電気信号に光信号を融合した新しい次世代のネットワーク通信技術を2030年の実現を目指して研究開発している。その特徴は従来技術の限界を超えた高速・大容量通信や、膨大な計算も電力の消費を格段に抑えながら実現できるところにある。
IOWNとtsuzumiが結び付く時が来れば、新しくどのような社会価値が見えてくるのだろうか。宮崎氏に展望を聞いた。
「現在の言語モデルの研究は、比較的軽量で特定用途に特化したものをお客様に提供することを基本的な戦略としています。例えば、特別な業態ごとに特化して特別な知識を持った言語モデルが複数生まれて、それが世の中に個別に遍在している未来を想定してみましょう。何かの事象に対して、1つの巨大な言語モデルが解決策を示すことも考えられますが、あるいは多様な個性と専門性を持つ複数の言語モデルが協調して、より良い解決策を見つけ出せるかもしれません。離れた場所に遍在する高度な言語モデルを結び付ける手段として、超高速・大容量・超低消費電力であるIOWNが活かせるはずです」
3月25日からついに商用化がスタートしたtsuzumiの周囲にこれからどんな新しいビジネス、サービスが立ち上がるのか注目したい。
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