宇宙

2024.03.24 13:00

初期宇宙のクエーサー観測で「銀河形成の謎」を探るコロンビアの天文学者たち

約130億光年の(光路)距離にあるクエーサー「ULAS J1120+0641」の想像図。中心には太陽の20億倍の質量を持つ超大質量ブラックホールがある(ESO/M. Kornmesser)

ウイラから星々の世界へ

キュティバ・アルバレスは、コロンビア南部ウイラ県ネイバで生まれ、父親が警察官だったため、国内の別の地方にある17の市や町を転々として暮らした。物理学が大好きになったのは15歳の時だ。
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「学校の物理の先生は女性で、物理学の興味深くて印象的な問題について先生が説明すると、聞いている生徒はわくわく感でいっぱいになった。そして間違いなく、米天文学者カール・セーガンの映画を見て大いに心を打たれ、いつか彼のようになりたいという思いが溢れるようになった」と、キュティバ・アルバレスは話す。

姉からの励ましもあり「この宇宙のすばらしい研究に心を奪われ」始めたキュティバ・アルバレスは「理系の女性として、科学技術における公正性と公平性を推進し、組織的な障壁や偏見の除去に取り組み、科学および政策の意思決定に多様な意見を取り入れるように促すことができる」と続けた。

グローバルサウス(南半球の途上国)出身の科学者が研究開発を主導できるようにすることで、地域の科学技術力が強化されるため、地域社会の持続可能な発展と向上への貢献につながると、キュティバ・アルバレスは説明する。
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「このことが、科学的な資源や知識の利用と分配における歴史的な不均衡に対処するには不可欠となる」と、キュティバ・アルバレスは話した。

チリのパラナルにある欧州南天天文台(ESO)の口径8m超大型望遠鏡VLTの1基の前に立つソフィア・ロハス・ルイス(Sofía Rojas)

チリのパラナルにある欧州南天天文台(ESO)の口径8m超大型望遠鏡VLTの1基の前に立つソフィア・ロハス・ルイス(Sofía Rojas)

宇宙の夜明けの時代を探る

もう1人のコロンビア人天文学者のソフィア・ロハス・ルイスは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を用いて、宇宙で初めて誕生した明るい銀河やクエーサーの調査を行っている。これらの初期天体は約130億年前、完全な暗闇から宇宙を明るくしたプロセスに貢献した。

現在は米カリフォルニア大学ロサンゼルス校の博士課程修了研究者で、トマソ・トレウ教授の研究チームに所属するロハスによると、天の川銀河(銀河系)よりも前に存在した、宇宙再電離の時代のこれらの銀河は、周囲に電離ガスの巨大なバブルを拡大させることができ、宇宙を暗闇の中に包み込んでいた中性水素の雲を壊していった。

「当時の宇宙は増大・進化している中性水素でできたスポンジのようなものと見なすことができる。やがて恒星が寄り集まって銀河となり、強力なエネルギーを放射して電離バブルを形成し始める。これが最終的に壊れると、晴れた夜空にアンドロメダ銀河が見えるように、近傍の銀河からの光が見えるようになる」と、ロハスは説明した。

ロハスは学部生のときに、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の画像を分析して、この時代の明るい銀河を探索するプロジェクトを主導した。

「HSTの観測データにより、いくつかの銀河候補の存在が示されているが、銀河の恒星組成や再電離期に電離バブルを形成できるかどうかに関するより詳細な情報を得ることはできない」とロハスは指摘している。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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