YTLパワー社の3月18日の発表によると、このスーパーコンピューターはYTL AIクラウドと呼ばれる同社の新たな部門によって運用され、エヌビディアの最新技術を使用して生成人工知能(AI)の開発を加速させる。エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は「この最新のスーパーコンピュータは、DGXクラウド上のNVIDIA GB200 Grace Blackwell Superchipの最初のデプロイメントのひとつであり、アジア太平洋地域におけるコンピューティングの成長をサポートするものだ」と述べている。
マレーシアのイブラヒム首相は、12月にフアンCEOと会談した後、SNSの投稿で、YTLパワー社とエヌビディアのAIデータセンターの建設費が200億リンギット(約6500億円)になると述べていた。
YTLのAIスーパーコンピューターは、ジョホール州にあるデータセンターに設置され、YTLグリーン・データセンター・キャンパスの一部となる。500MWのオンサイトの太陽光発電設備がスーパーコンピューターに電力を供給し、AIと機械学習のためのスケーラブルで高性能なクラウド・ソリューションを提供する。シンガポールから50km圏内に位置するこのデータセンターは、隣国の密集した相互接続ネットワークを活用できるとされる。
ジョホール州のデータセンターは、公共事業やセメント事業、建設事業などの既存の事業とは別の新たな成長源を模索しているYTLグループにとって、画期的なものとなる。マレーシア初の太陽光発電によるデータセンターであり、この種のデータセンターとしては東南アジア最大級だ。同施設にはすでに、シンガポールに本社を置くオンラインゲームとショッピング大手のシー社がアンカーテナントとして入居している。
マレーシアは、現在のアジア地域のデータセンターのハブであるシンガポールに比べて土地が豊富なため、この分野の新たな投資先となっている。アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のような大手も、マレーシアに多額の投資を約束。アマゾンは14年間で60億ドル(約9000億円)を投資し、同国にクラウドインフラを構築する計画だ。
フォーブスが昨年5月に発表した「マレーシアの富豪50人」ランキングで、ヨーとその兄弟は14位に入り、保有資産は14億ドルと推定されていた。ヨーは、亡き父のヨー・ティオン・レイが設立したYTL社を率いている。クアラルンプールを拠点とする同社は、セメントやホテル、不動産、公共事業などを収益源としている。
(forbes.com 原文)