特にアメリカでは、2023年12月には宮崎駿監督のアニメ映画「君たちはどう生きるか」が、北米興行収入ランキングで日本のオリジナル作品として史上初の1位を獲得(オープニング週末に約18億6300万円)するなど、アニメコンテンツの人気が高い。
アメリカでは、キアヌ・リーブスやミーガン・ザ・スタリオンなど「アニメ好き」を公言する著名人が増えていて、アニメはマイノリティな“オタク“カルチャーではなくなり、ひとつのクールなカルチャーとして受け入れられつつあるという。
この動きを後押ししたのが、米クランチロールだ。同社は200以上の国と地域に1300のアニメ作品(4万6000以上のエピソード)を配信し、グローバルで1300万人以上の有料ユーザーを抱える。2021年8月にソニーグループの傘下に入り、コロナ禍も追い風となって急成長。この1年ほどでユーザーは30%増加した。
アニメのストリーミングサービスや映画の配給で、今やソニーグループの映画分野の成長を牽引する存在でありながら、ゲームのパブリッシングやアニソンを歌うアーティストの海外ツアーのサポートなどにも手を広げている。
クランチロールは、なぜ世界中で支持されているのか。そして、グローバル市場における日本のアニメの未来は━━。
3月初旬に東京都内で開催された「クランチロール・アニメアワード2024」の会場で、首脳陣に話を聞いた。
世界のアニメファンは10億人に
クランチロールは2023年10月、Amazonプライムビデオとのグローバル契約を発表。現在はアメリカ、イギリス、カナダ、スウェーデンで課金コンテンツとしてAmazonプライムビデオ内での視聴が可能となり、その他の地域でも展開予定だ。動画配信サービスが群雄割拠の時代を迎えるなか、視聴者が様々なプラットフォームを行き来するストレスを減らし、新たな視聴者の獲得にもつなげる狙いがある。今後はAmazon以外の配信サービスとも連携していく予定だ。
プレジデントのラウール・プリニによると、日本と中国を抜いた(クランチロールのターゲット外のため)グローバルのアニメファンの数は、現在約7.5億人。それが数年以内には10億人に到達する見込みだ。
2021年に第63回グラミー賞で最優秀新人賞を受賞したアーティストのミーガン・ザ・スタリオンも「アニオタ」を公言する 提供/クランチロール