欧州

2024.03.22 13:00

伊女性首相がディープフェイクポルノ被害、1600万円の賠償訴訟

イタリアのジョルジャ・メローニ首相(Getty Images)

イタリアのジョルジャ・メローニ首相(Getty Images)

イタリア初の女性首相であるジョルジャ・メローニ首相(47)が、自身のディープフェイクのポルノ動画を作成し、ネット上に流した2人の男性を名誉毀損で告訴し、10万ユーロ(約1640万円)以上の損害賠償を求めている。3月20日に複数のメディアが報じた。

BBCによると、40歳の男性と73歳になる父親の2人は、他人の体にメローニ首相の顔を合成したポルノ動画を作成し、インターネットに投稿したとして名誉毀損で訴えられている。

イタリアのANSA通信によると、これらの動画は米国を拠点とするポルノサイトで「数百万回」閲覧されており、メローニ首相は今夏の名誉毀損裁判で証言する予定という。

首相の弁護士はANSA通信の取材に、メローニ首相が求めている賠償金の10万ユーロは「象徴的」なもので、2020年に調査が始まったこの裁判で首相が勝訴した場合、女性被害者の支援に充てられると語った。

ドイツ通信社(DPA)によると、メローニ首相は訴状の中で「このような事件の被害者となったすべての女性に、告発を恐れないようにというメッセージを送りたい」と述べている。

ディープフェイクという用語は、2017年末に掲示板Redditのユーザーがこの用語をタイトルにしたスレッドを作成し、既存のポルノ動画の体に有名人の顔を入れ替えた動画を投稿し始めたことから広まった。この用語は、現在では本物のように見える動画や画像や音声クリップなど、あらゆる種類の人物関連のフェイクコンテンツを意味するものとして使われている。

人工知能(AI)ツールやその他のソフトウェアがこのようなコンテンツの制作を容易にし続ける中、各国はその制作者に責任を負わせることに苦慮している。このようなコンテンツは、ネットいじめや個人情報の盗難といった犯罪のリスクを高めているが、ニューヨーク・タイムズは、ディープフェイクの作成をめぐる規制を設けている国はほとんどないと報じている。

カリフォルニア州やフロリダ州、ニューヨーク州、テキサス州などの米国のいくつかの州は、ディープフェイクポルノの問題に対処する法律を制定している。今月初めには、中学や高校の同級生のディープフェイクポルノを作成したフロリダ州の男性に6カ月の禁固刑が言い渡された。

英紙ガーディアンによると、オンライン上のディープフェイクの96%がポルノだったという。

ここ数年、多くの著名人が自身の画像がポルノに合成され、ネット上に出回っていることについて発言している。女優のエマ・ワトソンは10代の頃に撮影された写真をポルノビデオに合成され、ディープフェイク動画を作るためのアプリの宣伝に使用された。

また、今年初めにはテイラー・スウィフトのディープフェイクポルノがX(旧ツイッター)で拡散し、削除されるまでの間に数千万回も閲覧された。この露骨な画像は、スターがその画像に対して何ができるのかという議論の発端となったが、被害者がこの問題に対処するための連邦法は存在しない。
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テイラー・スウィフトのディープフェイク問題、Xの対応はかなりお粗末

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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