暗号資産

2024.03.22

ブラックロックが「トークン化資産ファンド」を米SECに申請

Getty Images

世界最大の資産運用会社であるブラックロックは昨年、他社に先駆けて現物ビットコインETFを米証券取引委員会(SEC)に申請し、3月12日時点でその運用資産を150億ドル(約2兆2600億円)規模にまで拡大している。同社はそれに続いて、資産のトークン化を手がける企業のSecuritize(セキュリタイズ)と提携し、トークン化されたプライベート・エクイティ・ファンドの立ち上げを申請した。

ブラックロックが先週、SECに提出した新ファンドの書類には、どの暗号資産を保有するかは明記されていないが、ステーブルコインを使って米国のファンドに投資ができるサービスを展開するOndo Finance(オンドファイナンス)のトークンのONDOの価格は、このニュースを受けて40%急騰した。

ニュースサイトThe Blockが19日に報じたEtherscanデータによると、BlackRock USD institutional digital liquidity fund (ブラックロックUSD機関投資家デジタル流動性ファンド)と呼ばれるファンドのトークン「BUIDL」が、今月初めにイーサリアムのブロックチェーン上に作成されていた。このファンドは4日に1億ドルの送金を受けた模様だ。BUIDLの最大数量はわずか100コインで、ホルダーは1人しかいない。

ブラックロックの創業者でCEOのラリー・フィンクは、暗号資産関連の2段階の計画を1月のCNBCのインタビューで話していた。「当社は、この状況が始まりに過ぎないと考えている。暗号資産のETFは金融市場における技術革命の第1段階であり、その後にあらゆる金融資産のトークン化が始まることになる」とフィンクは述べていた。

ブロックチェーン技術によって、伝統的な資産をトークン化することが可能になり、株式や債券、不動産といったあらゆる資産の移転がより安価で簡単になる可能性がある。

「我々はすでに資産をトークン化する技術を持っており、証券を売買した瞬間に、それらをすべて台帳に記録することが可能だ。金融システムのトークン化によって、すべての腐敗をなくすことができる」とフィンクはいう。

昨年、ブラックロックやJPモルガンをはじめとするウォール街の巨人たちは、フィンクが「次世代のマーケットのための暗号レボリューション」と呼ぶもののための土台作りを静かに始めていた。

クロスチェーンプロトコルのAxelar Network(アクセラーネットワーク)の創設者のセルゲイ・ゴルブノフは、Eメールのコメントで「資産のトークン化は、金融機関の動きを機敏にし、既存のテクノロジーでは不可能だった速度で新たな金融プロダクトを生み出すことを可能にする」と述べている。「これらの利点を複数のブロックチェーンに提供するためのインフラが、グローバル規模でのコンプライアンスに必要なモジュラーカスタマイゼーションとともに整備された」と彼は続けた。

一方、ビットコインやその他の暗号資産の普及は、現実世界の資産のトークン化の推進によって、加速する可能性がある。

「資産のトークン化は、Web3の採用を長期的に後押しする可能性のある数多くの要因の1つに過ぎない。ブロックチェーンのユースケースはまだ登場していないとよく言われるが、私たちの見解では、ユースケースはインフラのはるか先を行っている。それが今、変わり始めているのだ」とゴルブノフは述べている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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