それはスマートフォン関連では今週最大のニュースだった。アップルは、iPhoneでAIエンジンのGemini(旧Bard)を利用するための巨大な契約についてGoogle(グーグル)と交渉中だと報じられた。Bloomberg誌は、この「巨大契約はAI業界を震撼させるだろう」と書いた。
このニュースはもちろん、確実からはほど遠く、未確認であり、現時点では「議論は非公開のため身元を明かさないことを希望する人たち」に依存している。それでも、テック業界に火をつけるニュースを意味している可能性がある。
実際、これが実現するかどうかは問題ではない。アップルの中で何かが変わること自体がiPhoneユーザーにとっての真のニュースだ。アップルエコシステムの外で、生成AIの分野はグーグルのGeminiと、マイクロソフトが吸収したOpenAIのChatGPTに支配されている。そのため、「アップルはOpenAIとも最近交渉を持ち、同社のモデルを使うことを検討した」ことは驚きではない。
アップルは、今年の秋に公開予定のiOS 18が史上「最大」のアップデートになることを予告した。そしてその主たる内容は、オンデバイス(端末上で処理される)AIがiPhoneにも搭載されるということだ。数週間前の報道によると、アップルは独自のオンデバイス大規模言語モデルを開発中であり、それはOpenAIやその他のクラウドサービスと同等のクオリティを持ち、同時に同社の強みを生かすべくテストを重ねている最中だという。
しかし、グーグル(あるいはOpenAI)と交渉中である、というニュースは、アップルの進捗が思ったより芳しくない、あるいはオンデバイス生成AIはクラウド処理と比べて本質的な限界があるかのどちらかを示唆している。可能性としては後者の方が高いだろう。