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2024.04.01 14:30

生成AIめぐりiPhoneが「Android化」、検索に加えAIでもグーグルに軍配?

木村拓哉
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予想されるのは、アップルがAI機能を分割し、プライバシー重視の機能をデバイス上で行い(Gemini Nanoを使うかもしれない)、長い文書の作成や分析、あるいは詳細な調査といった重労働はクラウドで行うという方法だ。


Samsung(サムスン)を見てみよう。Android端末分野で独占的な力をもつ同社は今年、Galaxy AIに焦点を当てたマーケティングを行っており、近々急成長が予想されるAI端末市場で、グーグルの端末やiPhoneと戦おうとしている。これまでアップルは、自社のオンデバイスAI機能によって、サムスンのデバイス/クラウドのハイブリッドモデルと差別化をはかるものと思われていた。

「スマートフォンに統合されたAIは、端的に言って革命です」とサムスンのMXビジネス責任者がモバイルワールドコングレス(MWC)に先立って語った。「このデータ集約型モバイル体験の新時代において、セキュリティとプライバシーの基準を高めることも重要です。これは、私たちがオンデバイスとクラウドベースのAIを組み合わせたハイブリッド方式を採用した理由の1つです。シームレスに利用できるというメリットがあるだけでなく、これによってユーザーは、機能の一部をすべてオンデバイスで実行することが可能になり、個人データの使い方をよりよくく制御できるようになります」。

当時この発言はアップルの方針との違いを示唆しているように思えた。しかし今回の報道が正しいとすれば、そうではないことになる。アップルが同じハイブリッド方式を探求しているという事実は、モバイルAI業界が次に向かう方向を示す重要な指標だ。

サムスンのAI機能でいつも問題になるのは、それが自社の技術とグーグルの技術の組み合わせで作られていることだ。しかし、サムスンとアップルが同じアプローチを取る可能性があることは複数の報道が示唆しており、その結果iPhoneとAndroidのギャップはさらに縮まることになる。

アップルとサムスンの、世界で最も売れている最上位モデルの間に性能の違いはほとんどないことや、AIが目玉機能になることを踏まえると、これは2つのエコシステムがこれまでで最も近づく時であり、サムスンはよりアップルに近くなり、アップルはよりサムスンに近くなるということなのかもしれない。
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翻訳=高橋信夫

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