米国麻薬取締局(DEA)によれば、ケタミンは解離性麻酔薬と呼ばれる幻覚作用のある薬物の一種で、接種した人の音や視覚の知覚をゆがめ、自分をコントロールできないように感じさせる。
DEAは、ケタミンを身体的・心理的依存の可能性が低から中程度のスケジュールIII薬物に区分している。
ケタミンは短時間作用型の麻酔薬として作用する注射薬と、スプラバートという商品名で知られるうつ病治療用の点鼻薬の2つの形式でヒトへの使用が承認されている。ただし、スプラバートに含まれているのは米食品医薬品局(FDA)が点鼻薬として承認したエスケタミンと呼ばれるケタミンの派生物のみだ。
ケタミンそのものは、精神疾患の治療向けには承認されておらず、FDAはこの薬物がこれらの症状の治療に使用されるケースが増加していることに警告を発した。しかし、一部の医師は、うつ病や双極性障害のような幅広い精神疾患の適応外使用としてケタミンを処方している。
American Addiction Centers(米国中毒センター)によれば、ケタミンの過剰摂取が原因の死亡となるのはまれだが、交通事故や溺死などの事故死との関連が指摘されている。また昨年、自宅で急逝した俳優マシュー・ペリーの死因は「ケタミンの急性作用だった」とされている。
2020年のDEAの報告によれば、ケタミンは違法に流通することもあり、その多くは動物病院から盗まれたり、メキシコから米国に密輸されたりしている。
マスクは「少量のみ使用」と説明
イーロン・マスクは、X(旧ツイッター)で配信された番組でケタミンの使用を擁護した。マスクは「本物の医者」からケタミンを処方されており「ネガティブな精神状態から抜け出す」ために隔週で使用していると語った。彼は薬の使いすぎを否定し「仕事が手につかなくなる」ことを避けるために少量しか使用しないと述べた。ウォール・ストリート・ジャーナルは以前、マスクがケタミンやLSDなどの薬物を使用しており、一部の投資家は彼のビジネスへの影響を懸念していると報じた。マスクはこの報道に反論し、NASAが要求する薬物検査には常に合格していると述べた。