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2024.03.21 13:00

イーロン・マスクが使う「ケタミン」はどんな薬物なのか?

安井克至
マスクは、ケタミンの使用が彼のビジネスに悪影響を及ぼすとは考えておらず、「重要なのは業務の遂行」であり、投資家の立場からすれば、もし私が服用しているものがあるのなら、それを「服用し続けるべきだ」と述べている。彼は、ケタミンが他の抗うつ薬よりもうつ病の治療に「より良い選択肢」だと繰り返し主張している。

治療薬としてのケタミン

ケタミンが効果的な治療法になりうると考える医師もいれば、もっと研究が必要だと考える医師もいる。現在のところ精神疾患の治療薬として承認されたケタミン製剤は、鼻から接種するエスケタミンのみだが、一部の研究では他のケタミン製剤もこれらの疾患の治療に有効であることが示されている。

うつ病患者の3分の1は、少なくとも2種類の抗うつ薬に反応しにくい状態にある。このような場合、唯一の治療法の1つが電気ショック療法だが、記憶喪失などの副作用の可能性があるため、躊躇する声もある。

ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌に発表された2023年の研究によると、ケタミンには、意識や記憶などに関する感覚をまとめる能力が一時的に失われる解離と呼ばれる副作用があるものの、記憶喪失を引き起こすことなく、電気ショック療法と同等の効果をもたらすことが証明された。

ケタミンには、透明な液体のものと白色の粉末がある。娯楽目的で使用する場合は、粉末のものを鼻から吸引するか、大麻やタバコなどと混ぜて喫煙する。液体の場合は、注射するか、飲み物に混ぜる。少量のケタミンは、知覚や協調性を変化させながら、多幸感や夢のような精神状態を作り出すとされる。

Forensic Sciences Research(フォレンジック・サイエンス・リサーチ)の研究によれば、ケタミンの投与量を増やすと「Kホール」と呼ばれる「体外離脱」体験が生じる可能性がある。また、大量に接種した場合は心血管や呼吸器、神経毒性などの医学的問題を引き起こす可能性がある。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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