サイエンス

2024.03.24 12:00

心理学者が解き明かす「結婚恐怖症」 その原因と克服方法

以下に挙げる2つの戦略は、パートナーがガモフォビアという悪魔を克服するのに役立つだろう。

1. 約束を象徴する儀式やセレモニーを取り入れる

学術誌Journal of Social and Personal Relationshipsに2020年に発表された研究によると、カップルで行う儀式はパートナーに対する認識を変え、新しい視点でパートナーを見つめる機会となることがわかった。儀式の神聖な雰囲気は、パートナーや2人の関係を観察するきっかけとなり、2人が共に通過する定期的なチェックポイントとして機能する。

象徴的な儀式を作る際に考慮すべき重要な要素をいくつか紹介しよう。

・成長、団結、困難を乗り越える力、共有体験などを象徴し、2人にとって重要な意味をもつシンボルやメタファーを見つけることから始める。たとえば、自分とパートナーの両方が子供の頃から特別な思い入れのある木があるなら、それを庭に植えることは、木を育てるように2人の絆を育てるという約束の象徴になる。

・意味のあるシンボルを見つけたら、2人の関係の本質を体現する儀式やセレモニーを作る。この儀式というのは、簡単な日常習慣から重要な節目を記念する手の込んだセレモニーまでさまざまだ。好みに合わせて積極的にカスタマイズし、確実に自分たちらしく意味あるものにしよう。

・約束を強化するためのカギは一貫性だ。毎日、毎週、毎月など、定期的に儀式を行い、時間をかけてその影響を深めていく。

・関係性が進展するにつれて、儀式を適応・進化させ、新しい経験と願望を反映させる。カップルとしてのニーズの変化に対応するため、柔軟性と創造性を取り入れる。

2. パートナーの快適さと価値観に合った関係性の選択を検討する

パートナーの好みを認識し尊重することで、双方にとって安全で充実した関係性のダイナミクスを共同で作り上げることができる。以下のような選択肢がある。

・交際契約のカスタマイズ。こうした契約書は、2人に固有の価値観、好み、目標を反映した関係性のパラメーターを定義するガイドラインの骨子となる。金銭的な取り決め、生活状況、コミュニケーション方法、対立解決戦略など、さまざまな側面が含まれる。互いを大切に思う気持ちを維持したまま別々に暮らす別居婚のような現代的な生活形態も考えてみよう。研究によると、この生活形態はパートナーの満足度が高い場合、将来的に同居したいという欲求を高め、理想的な同居像を明確化できるという。

・友愛的な関係。
友愛で結びついた関係は、恋愛関係や性的な関係よりも、仲間意識、友情、感情的な親密さを優先する。これはガモフォビアに悩む人に安らぎを提供できる可能性がある。何よりもガモフォビアには将来の約束と親密さへの恐怖が含まれるため、プラトニックな愛の確かな基盤上で深いつながりを育める友愛関係は、安全な避難場所となる。ガモフォビアに苦しむ人にとっては、従来の恋愛に伴う義務のプレッシャーなしに感情的な親密さを得られる友愛関係のほうがうまくいくかもしれない。

恐怖は人間関係を静かに損なう。しかし、私たちを形作るのは恐怖に目をつぶることではなく、恐怖に正面から立ち向かう勇気なのだ。安全な関係性の避難場所を作れば、障害を機会に変え、困難に立ち向かう関係性を築くことができる。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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