欧州

2024.03.20 10:00

砲弾発射数3倍に回復するウクライナ軍、ロシア軍の損耗加速へ戦術練る

2024年1月、ウクライナ東部の前線で射撃するウクライナ軍のスウェーデン製アーチャー自走榴弾砲(Dmytro Larin / Shutterstock.com)

北朝鮮製の砲弾は不発弾も多いが、その分を差し引いてもロシア軍には1日に1万発発射できるほどの砲弾の在庫がある。ウクライナ軍が今年、ピーク時に発射できると見込まれる砲弾数よりもさらに数千発多い。
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それでも、ウクライナ軍将校のグリーンは心配していない。ウクライナ軍の砲兵のほうが「より創造的で賢い」と考えるからだ。彼がどのようなことを念頭に置いて言っているのかは明らかだ。

昨年末、ウクライナ軍の砲弾危機がいよいよ深刻になってくると、ウクライナ国内に何百とある小規模な工房のネットワークはFPV(1人称視点)ドローンの生産を拡大した。重量1kg程度のこれらのドローンは500gほどの爆発物を搭載して、最長で3kmかそこらの距離を飛行できる。

これらの工房は現在、ドローンを月に5万機超生産している。おそらく、ロシア側の実戦で有効なドローンの生産数を大きく凌駕しているとみられる。ウクライナ政府は今年、FPVドローン100万機の生産を目標に掲げている。
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もちろんFPVドローンは、10kg超の炸薬を装填して25kmほど先まで届く重量45kgほどの砲弾の直接の代わりにはならない。それでも従来の砲弾を補うことはでき、ウクライナ軍の砲弾数での不利な状況を緩和するのに役立つ。

ウクライナ軍のよく知られた戦術の1つは、ロシア軍の密集した突撃部隊に狙いすました集中砲撃を加え、兵士や車両を散開させるというものだ。たとえこの砲撃自体では生き残っても、ばらばらになり、ジャマー(電波妨害装置)や防空装備にも守られなくなった兵士や車両は、FPVドローンの格好の標的になる。

ウクライナ軍の砲兵部隊は、以前はロシア軍の1個突撃部隊を撃破するのに砲弾を10発程度発射する必要があったとみられるが、現在はドローン部隊と連携して近くのFPVドローンにとどめを刺してもらうことで、わずか5発でそうできるようになっている。

エストニア国防省は先ごろ、ロシア軍の攻勢能力をなくすには、ウクライナ軍は2024年にロシア軍の人員10万人を死亡させるか重傷を負わせる必要があると試算している。ウクライナ軍が幸運にも、主にチェコを通じて入手できることになった200万発かそこらの砲弾は、その実現に大きく寄与するに違いない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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