国内外から1000社の入居を目指す、国内最大のスタートアップ支援拠点「STATION Ai」が愛知県名古屋市内でことし10月に開業を控えている。現在は名古屋駅からほど近いWeWork内に「PRE-STATION Ai」を開設しスタートアップの総合支援をしており、今後「STATION Ai」が開業することでスタートアップや大企業などをつなぐコミュニティが形成され、新たなオープンイノベーションの一大拠点になりそうだ。
4月から入居企業の本エントリーが始まるが、プレエントリーの時点ですでに357社が集まっている。運営を手掛けるソフトバンク子会社のSTATION Ai代表取締役社長 兼 CEOの佐橋宏隆氏に話を聞いた。
──開業前から運営する早期支援拠点「PRE-STATION Ai」では、すでに入居企業が増えており注目が集まっています。
愛知県が「STATION Ai」の開業を見据えて、2020年1月に「PRE-STATION Ai」を開設し、2022年から弊社が運営に関わり始めましたが、いよいよ10月に開業します。昨年からは3カ月に1回、プレ入居企業を募集し、前回は過去最多の約120社から応募がありました。想定以上のペースで増えており、注目度の高さを感じています。
入居メンバーにはファウンダープログラムに参加してもらい、事業ステージに応じた支援メニューを展開しています。メンバーではない学生や社会人向けにも、起業体験プログラムを展開するなど、名古屋でスタートアップの関係人口を増やしてきました。必ずしもすべて最初から「起業する」ことを目的にはしていません。例えば、社会人の場合、社内で新規事業をおこしたり、副業として新規ビジネスを始めたり、幅広い起業スキルを身につけられるようなセミナーなどを開催しています。
このほかにも、一般参加も可能なピッチイベントやスタートアップと大企業の協業に繋げるマッチングイベントも開いています。

現在はスタートアップの入居がメインですが、開業後はスタートアップ以外のメンバーも募集していきます。オープンイノベーションなどでスタートアップとかかわりを持ちたい企業や、VCや投資家、ビジネスを支援するインキュベーター、会計士や弁護士のほか、自治体や大学などさまざまな関係者を迎えたいと考えています。
なかでも動きが早いのは、金融機関ですね。スタートアップ支援をする立場でもあり、フィンテック領域で新規事業の創出をしたいという立場でもある。昨年秋に開業後の仮申し込みを始めたところ、すぐにエントリーをいただきました。
──事業会社の場合、オープンイノベーションに関心があるのでしょうか。
完全にその目的だと感じています。ただ、さらに入居希望の企業に話を伺うと、スタートアップと協業したいケースと、「STATION Ai」の施設内で、スタートアップで働く人たちと肩を並べて新規事業に取り組んだり、若手社員にこうした環境下で事業成長に取り組む機会を与えたりと、さまざまなご要望をいただいています。
国内ではスタートアップが入居できるコワーキングスペースなどはたくさんありますが、事業会社とスタートアップが同居する大規模な施設はほかに例がありません。