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2024.03.22 09:45

愛知の「STATION Ai」国内最大の新スタートアップ支援拠点に 大企業や金融人材も迎える理由


──開業まで約半年ですが、PRE-STATION Aiの運営を通じて感じる手応えはいかがでしょうか。
 
愛知県は、製造業が盛んな地域なので大手のものづくり企業で働くことが良しとされる手堅いイメージがあり、運営に関わるまではスタートアップを多数生み出していけるのか、または集まってくるのかという懸念はありました。
 
ですが、実際は当初の目標を上回り350社以上のスタートアップが集まり、地域全体でスタートアップを創出していくムーブメントが起き、価値観も多様化してきました。起業することや、スタートアップと協業するという選択肢がだいぶ現実的なものになってきたという感覚はありますね。
 
──逆に、スタートアップ支援を手掛けるなかで感じる課題は。
 
この地域に限った話ではありませんが、この5年ほどで日本全体で大手企業を中心にオープンイノベーションに取り組む企業や、CVCのようにスタートアップ投資を手掛ける企業が増えてきています。これについては企業によって温度差があるので、もっと加速させていきたいです。
 
愛知県は、既存産業の基盤が強い地域です。地域に根づく企業をどう巻き込んでいくか、が課題になってきます。一方、スタートアップは特にインターネットの発展とともにソフトウェア産業の分野で伸びてきました。両者をどう接続させていくかが、課題だと言えます。ものづくり産業をソフトウェアの力でアップデートしていく。加えて、ものづくり領域のスタートアップも増えていくと良いですね。具体的には、核融合や半導体製造、ドローンや航空宇宙産業、モビリティやロボティクスなどの領域に期待しています。これらは、この地域の既存産業がもつアセットを活かせる領域です。
 
We Workグローバルゲート名古屋内にある「PRE-STATION Ai」

We Workグローバルゲート名古屋内にある「PRE-STATION Ai」


──スタートアップ・エコシステムの形成という観点で、愛知県の現状は。
 
全体的に見れば、思ったよりも早く形成できていると感じます。ですが、エコシステムというからには、まだまだ起業家の数も増やさないといけないですし、M&Aをしたり、シリアルアントレプレナーが地域に入ったり、エンジェル投資家が生まれたり、起業家が次の挑戦ができる環境にならなくてはいけないと思います。
 
名古屋では、いま活動する起業家たちが第1世代で、この地域からスタートアップで上場した事例もまだ少なく、先にスケールアップしている人たちが第0世代と捉えており、まだ層が浅いのが現状です。
 
支援側はだいぶそろってきて、必要とされるスタートアップ支援が受けられる環境になっていますが、唯一、独立系のVCがまだ足りていません。ユニコーンを地域から生み出すことを考えた時に、資金の出し手が事業会社以外にあまりなく、リスクマネーを供給できるVCを増やしていく必要性を感じています。ただ、東京ではスタートアップ投資の競争が激しく、最近では名古屋に進出する東京のVCも確実に増えてきています。
 
私たちも15億円規模の「STATION Ai Central Japan 1号ファンド」を組み、AI、特にディープラーニング領域の企業に投資と支援を行っています。
 
──有望なスタートアップを見極めるポイントとは。
 
現状の入居企業は、シリーズAまでのアーリーステージのスタートアップが多く、事業の成長性を重視しています。開業後はオールステージに広げていきます。
 
ファンドでもアーリーを中心とした投資をしており、まだプロダクトや実績がないケースが多いため、経営チームがもつ仮説で、どのように世の中を変えようとしているのか、なぜ変えられるのか。ビジョンと人を見ることになります。その後、プロダクトができてトラクションが出てくると、見られるポイントも増えていきます。
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文=督あかり 写真=グリフィス太田朗子

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