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2024.03.19

米国で削除されたApple Watchの「血中酸素濃度測定」 復活の可能性

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Apple Watchの血中酸素濃度測定機能を巡り、新たな動きが出てきた。2つの最新レポートによると、現在、米国で無効化されているこの機能が復活する可能性があるという。

アップルは、Apple Watchに搭載した血中酸素濃度測定の仕組みに関して、健康機器メーカーのMasimo(マシモ)から特許侵害で訴訟を起こされ、米連邦裁判所の判決を受けて米国内で販売する「Apple Watch Series 9」と「Apple Watch Ultra 2」からこの機能を削除した(ただし、米国外で販売されるモデルでは引き続き使用することができる)。

アップルは、Apple WatchがiPhoneとペアリングされているときにた血中酸素濃度測定機能をオフにすることで、この機能を無効化した。ニュースサイトMacRumorsによると、米国税関・国境警備局(CBP)から同社に出された命令は、ユーザーが血中酸素ウェルネスアプリを開くと、利用できないことを警告するというものだったという。アップルは、工場ですべてのApple Watchに新たなソフトウェアをハードコーディングしたとしている。

マシモ側の不満

マシモは、一貫してソフトウェアの修正だけでは不十分だと主張してきた。同社が、古いバージョンのiOSを搭載したiPhoneをジェイルブレイクし、新たなソフトウェアを搭載したApple Watchとペアリングしたところ、血中酸素濃度の測定機能が再び使用できるようになったという。同社は「ジェイルブレイクは一般的に許容され、普及しており、広く知られている。この実験は、アップルの取り組みが不十分であることを証明するものだ」と主張した。しかし、CBPはアップルの行為はマシモの特許侵害を回避するのに十分であるとし、これに同意しなかった。

マシモが指摘する通り、Apple WatchのユーザーがiPhoneをジェイルブレイクして古いソフトウェアを使うことを止めることはできない。しかし、ジェイルブレイクされたハードウェアは、ハッキングやその他のセキュリティ上の問題を引き起こす可能性がある。

一方、アップルは裁判所の判決に異議を唱えており、認められれば対象となるApple Watchのソフトウェアアップデートによって、血中酸素濃度測定機能が復活する可能性がある。同社がマシモと和解し、この機能のライセンス供与を受けることも考えられるが、両社は協議を始めておらず、実現するとしてもまだ先のことになりそうだ。

早期復活の可能性

一方、血中酸素濃度測定機能の復活が、ほんの数カ月先のことになるとの見方も浮上した。ブルームバーグのマーク・ガーマンは3月11日、同社で行われたライブの質疑応答で、次のように述べた。「アップルは、マシモにまったく費用を支払うことなく血中酸素濃度測定機能を再導入したいと考えている。それが実現するのは、今年の終わり頃までかかると予想している」

アップルは今秋、Apple Watchの10周年を祝う新型モデルをリリースする予定で、ガーマンはこのモデルに新たに血圧測定機能が加わるとも述べている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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