起業家

2024.03.24

数億円を失い得た教訓 ヒップホップ界の重鎮ファット・ジョーが語る

ファット・ジョー(Photo by Lionel Hahn/WireImage)

何百万ドルもの取引を台無しにしないためには、取り巻きの人数を最小限にしておくことが肝心だ──。これは、ヒップホップ界のスターで起業家のファット・ジョー(53)が学んだ教訓だ。彼はかつて、取り巻きが多かったゆえに、200万ドル(約3億円)の契約を失ったことがあるという。

ジョーはかつて、30人以上の取り巻きに囲まれて、その暮らしの面倒を見ていたことがある。2000年代初頭に、マーケティング会社の幹部が彼にビール会社のプロモーションの話を持ちかけようとしたとき、その寛大さが裏目に出た。

その幹部のポケットには200万ドルの小切手があり、受け取り人の欄にはファット・ジョーの名前が書かれていた。しかし、このオファーは彼に届くことはなかった。数年後にジョーは、取り巻きの一人がその取引を阻止していたことを知ったという。

「みんなを助けようとすると、いつもこの罠にはまる」とジョーは語る。

ジョーは、今年1月にヘアケアブランドの「It’s a 10 Haircare」が発売したヒゲ染め製品「Rewind It 10」のプロモーションに際し、フォーブスに対して自身のビジネスについて語った。このプロダクトはジョーのほか、テイラー・スウィフトの恋人でNFLのスター選手のトラヴィス・ケルシーや、DJキャレド、モデルのタイソン・ベックフォードといった有名人をパッケージとプロモーションに起用している。

ジョーとIt’s a 10 Haircareとの提携条件の詳細は明らかにされていないが、彼はフォーブスの取材に対し、Rewind It 10とのパートナーシップは、会社の一部を所有するための株式の取引だと述べた。この契約によりジョーは、調査会社のIBISWorldが米国の市場規模を112億ドル(約1兆7000億円)と試算したヘアカラー市場に参入することになった。

「女性たちは髪もまつげも整えている。だから、われわれ男性も髪やヒゲの手入れをしてはどうだろう?」とジョーは語った。「老けて見えるのは好きじゃないんだ。もし、あなたの奥さんが、白髪がセクシーだと言うなら、彼女はうそをついている」

起業家としてのジョーは、ニューヨークで3店舗のスニーカーショップを経営し、ナイキやマイケル・ジョーダンのブランドのスニーカーのリセールを行っている。

『Lean Back』や『All the Way Up』、『What's Luv?』などのヒット曲で知られる彼は、1990年代初頭に音楽シーンに登場し、10枚のソロアルバムを含む12以上のプロジェクトをリリースした。また、2018年のケヴィン・ハートのコメディ映画『ナイト・スクール』などの映画にも出演している。

自分のキャリアを一言で表現するよう求められたジョーは、レジスタンス(抵抗)という言葉を選んだ。「自分は3つの異なる時代にヒットを出した。決してあきらめないんだ」

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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