2023年2月に550ドル(日本での価格は約7万5000円)で発売されたPS VR2は、これまで200万台が生産されたが、出荷台数は減少しているという。これに対しPS5は、2年間にわたり供給不足が続いたものの、販売台数は2023年12月時点で5000万台に達している。PS VR2は発売当初、初代PS VRを上回る500万台超を売り上げるとも言われていたが、その見通しは今や怪しくなっている。
ブルームバーグは、PS VR2が抱える明白な問題を指摘している。PS VR2には魅力的なコンテンツが不足しており、遊べる大作ゲームは『Horizon Call of the Mountain』や『グランツーリスモ7』などひと握りしかない。また、PS5本体よりも高い価格設定によって、多くのゲーマーにとって手が届かない製品となっている。ソニーは最近、PS VR向けゲームの開発人員を削減しており、将来的にPS VRのサポートがさらに減少する可能性もある。おそらく、ソニーはPS VR2の損失を最小限に抑える方向に動き始めたのだろう。
ソニーが抱える問題は、VR市場全般にも共通するものだ。家庭用ゲーム機・PC・モバイル向けのゲーム市場と比べると、VRはまだニッチな市場だ。PS VR2の主な競合相手であるメタの「Meta Quest」シリーズは、多くの競合製品よりも優れた性能を持つにもかかわらず、世界的なブームを生み出すには至っていない。アップルは最近、3500ドル(約52万円。日本での価格は未定)という非常に高価な「Apple Vision Pro」でVR・拡張現実(AR)市場に本格参入したが、ゲーム分野にはあまり力を入れていない。