ロイターは米国防総省の国家偵察局(NRO)が、2021年にスペースXのスターシールドプログラムと契約を結び、数百基のスパイ衛星を開発することに合意したと匿名の情報筋の証言を引用して報じた。
情報筋によれば、これらの衛星は地球を撮影する機能を持ち、低軌道において集団でオペレーションを行い、地上のターゲットの動きを把握してデータを諜報機関や軍と共用するという。これらの衛星のプロトタイプは、2020年以降に10数基が打ち上げられたという。
NROはロイターの取材に、同局が他の政府機関や企業、研究機関、他国と連携して衛星システムを開発していることを認めたが、スペースXの関与については確認しなかった。
フォーブスはNROとスペースXにコメントを求めたが、即座に返答は得られなかった。
スペースXがNRO のために開発している衛星の数や、スターシールドに参加している他の企業については明らかになっていない。
ウォール・ストリート・ジャーナルは先月、スペースXが2021年に米国の情報機関と契約に合意したと報じたが、契約の詳細は明らかになっていない。社内の文書でスペースXは国家安全保障の取り組みを補完するスターシールドと名づけられた衛星プログラムを開発していることが示唆されていた。同社のウェブサイトによると、スターシールドは地球観測やグローバル通信、顧客ペイロードミッションに焦点を当てた「政府利用」のために開発されている。
スペースXのグウィン・ショットウェル社長は昨年、同社と「情報機関」の間には「非常に良い協力関係」があると述べていた。ロイターによると国防総省は以前、スペースXのファルコン9ロケットを使用して軍事用ペイロードを宇宙に打ち上げたことがある。
ロシアがスターリンクを使用した疑惑
一方、スペースXは、ロシアがウクライナとの戦争で同社のインターネット端末のスターリンクを使用した疑惑をめぐり、調査を受けている。民主党のジェイミー・ラスキン下院議員と同じく民主党のロバート・ガルシア下院議員らは、同社がロシアによるスターリンクのインターネットサービスの利用を防ぐ「適切なガードレールとポリシー」を導入していないことを懸念し、同社に書簡を送った。両議員らは、この調査には国防総省や他の政府機関も関与するだろうと述べた。スペースXとマスクは、スペースXがロシアにスターリンク端末を販売していたという主張を否定し、そうではないと主張する報道は「断じて誤り」であると示唆した。この調査は、ウクライナの情報機関が、ウクライナ東部におけるロシア軍の会話を傍受し、スターリンク端末がインターネットアクセスを確立するために設置されたことを示唆する主張を受けて始まった。
(forbes.com 原文)