この法案が実際に成立した場合に、予想される最も大きな動きは、中国政府が米国企業に対する報復措置に打って出ることだ。
ローゼンブラットのアナリストのバートン・クロケットは、中国が報復を行った場合、アップルに対して「一定の懸念」があると述べている。Temu(ティームー)やSHEIN(シーイン)のような他の中国企業のアプリに議会の調査が及んだ場合は、メタの直近の四半期の広告収入の10%がこれらの企業からのものであったことを考えると、同社にも打撃がおよぶ可能性がある。さらに、アマゾンのサードパーティパートナーの約半分が中国企業であることから、アマゾンにもリスクが存在する。
ダン・アイブス率いるウェドブッシュのアナリストは、中国政府からの反発を注意深く監視している企業として、アップルとテスラを挙げている。この2社は、中国への依存度が最も高い米国の主要企業に含まれており、最新の会計年度の収益に中国が占める割合はアップルが19%でテスラが22%だった。
バーンスタインのアナリストのマーク・モアドラーは14日のメモで、TikTokの禁止によって最も直接的な影響を受けるのは、おそらくオラクルになると述べている。オラクルは、TikTokの米国のストレージプロバイダーとして年間10億ドルの収益を得ているという。しかし、モアドラーはまた、オラクルのデータセンター事業の高成長は、TikTokを失うことで生じる損失を補って余りあるものであるため、同社の評価額は「影響を受けないだろう」と述べている。
一方、ポジティブな影響としてバーンスタインのクロケットは、メタやアルファベット、Spotifyらが、現在TikTokが獲得している米国の広告収入の約10%を獲得する可能性があると指摘した。ウェドブッシュのアイブスは、TikTokの米国事業が実際に譲渡された場合、アップルやオラクル、マイクロソフトらが投資家として参加する可能性を示唆した。
英フィナンシャル・タイムズは、TikTokが昨年、米国で160億ドル(約2兆4000億円)の売上を上げたと15日に報じた。これは、昨年Spotifyが米国で上げた売上の約3倍、昨年Snapが北米で上げた売上の約5倍、2021年のXの米国における売上の約6倍に相当する。
一方、アルファベットの昨年の米国での売上は1460億ドルで、メタの昨年の米国およびカナダでの売上は610億ドルだった。
非上場企業であるバイトダンスの直近の社内における評価額は2680億ドルだったとされている。これは、ネットフリックスの時価総額とほぼ同じ金額だが、アルファベットやメタの1兆ドルを超える時価総額よりははるかに小さい。
(forbes.com 原文)