「もふもふ戦争」は二正面作戦の様相を呈している。戦線の1つは、ウサギそのものが相手だ。地面の下に無数に掘られたトンネル、飽くなき食欲、それにともなう糞害が深刻な問題となっている。
もう一方の戦線で対峙する相手は、人間である。ウサギを駆逐する方法をめぐり、当局と地元の動物保護団体パリ・アニモー・ズーポリス(PAZ)の活動家らが対立しているのだ。
こちらの「ウサギ戦争」の火ぶたは5年前に切って落とされた。PAZが「ウサギの窮状を裁判所に提訴した」のである。英紙ガーディアンによると以降PAZは、アンバリッド広場を管理するフランス陸軍がウサギ駆除の許可と協力をパリ市当局に申請するたび、組織的に法廷闘争に持ち込んできた。
2021年、当局はパリのウサギを「害獣」に指定した。しかし、ウサギとの「平和的共存政策」を求める動物保護団体から猛抗議を受け、指定を撤回せざるを得なかった。
厄介ものか、観光の目玉か
「戦域」は明確に定められている。皇帝ナポレオン・ボナパルトの墓や陸軍博物館があり、歴史的建造物に指定されているアンバリッド(廃兵院)の前庭だ。よく手入れされた約16ヘクタールの緑の芝生の下で、ここを魅力的なすみかと見定めたヨーロッパアナウサギが繁殖しているのだ。その数、なんと約300匹。地下に網の目のように巣穴を張りめぐらせたウサギたちは、緑の芝生の上で安穏とたわむれ、観光客らを喜ばせている。日刊紙ル・パリジャンによれば、晴れた日には「芝生に寝転がり、草の間に突き出した耳といっしょに自撮りをする」のが観光客に大人気だという。
しかし、歴史地区と記念碑の管理監督を任されているフランス軍としては、この現状はあまりおもしろくない。毎日何トンものウサギの糞を回収しなければならないとなれば、なおさらだ。
そればかりか、ウサギたちは芝生や植物を荒らし、巣穴をどこまでも広げ、敷地内の散水設備の電気ケーブルや配管ホースをかじってしまう。