提訴したのは元競泳選手のライリー・ゲインズ、ハンガリー出身で五輪出場経験もある競泳選手のレカ・ジョルジュ(バージニア工科大学)、同じく競泳選手のカイリー・アロンズ(ノースカロライナ州立大学)とほか13人。
原告側はNCAAのほか、ジョージア州の公立大学からなる大学システム、個人十数人を相手取って起こした訴訟で、NCAAのトランスジェンダー選手に関するポリシーは女性を差別し、教育機関での性差別を禁じた「タイトル・ナイン(改正教育法第9編)」と、法のもとの平等な保護を定めた合衆国憲法修正第14条に違反しているとしたほか、身体のプライバシー権も侵害していると主張している。
原告側は、NCAAの女子種目に出場した「すべての男性」を不適格とすることや、これらの選手が獲得したタイトルをすべて取り消して授与をやり直すこと、NCAAが今後、トランスジェンダーの女性による女子種目への出場を認めないことなどを求めている。ほかの選手にもこの集団訴訟への参加を呼びかけている。
原告の大半は、NCAAがトーマスの大会出場を認めたことで影響を受けたとする現・元競泳選手が占める。トーマスはもともとペンシルベニア大学の男子競泳チームに所属していたが、性別移行後の2022年、NCAAの全米選手権の複数の女子種目に出場し、女子500ヤード自由かたちでは2位に大差をつけて優勝した。原告の1人であるジョルジュはこの種目で、トーマスの決勝進出によって順位決定戦への進出を逃すかたちになった。
これらの競泳選手らは、自身たちの経験はNCAAの決定によって「女性たちに害が及んでいることを実際に示すもの」と説明している。訴訟ではNCAAによるトーマスへの対応が焦点になっているが、トーマス自身は被告に含まれない。