原告側は、NCAAは「大学スポーツに関する急進的な反女性ポリシーを押しつけ、タイトル・ナインを再解釈して女性をテストステロン(男性ホルモン)値で定義し、男性に女子チームで戦うことを許し、女子更衣室を女性が安全に使えないようにしている」と批判している。
訴訟に資金を拠出した団体「女子スポーツ独立協議会(ICONS)」の共同創設者であるマーシ・スミスはフォーブスに寄せた声明で、今回の法廷闘争は「たんなる競技の問題にとどまらず、女子スポーツの存在そのものにかかわる戦いです。わたしたちは正義と、女性アスリートが公平な条件で競い合う権利のために立ち上がりました」と述べている。
原告の1人であるゲインズは14日、保守系ニュースサイト「アウトキック」のインタビューで「わたしがNCAAにしてほしいと思っていること、そして彼らがこれまでやってこなかったことは、説明責任を果たし、責任を取ること」と語り、NCAAは「道徳的に堕落した卑怯者」だと強く非難した。
NCAAの2022年の全米選手権以来、トーマスの事例はトランスジェンダーのスポーツ参加をめぐる全米の議論の中心になっている。トランスジェンダーのアスリートは移行した性別の競技で生物学的に有利になるので不公平だとする主張もあれば、トランスジェンダーのアスリートに制限を設けるのは排他的で、必ずしも必要ではないとの意見もある。
現状では対応は州や運営組織によってまちまちだ。NPO「ムーブメント・アドバンスメント・プロジェクト(MAP)」によると、テキサス州やフロリダ州、ノースカロライナ州、ユタ州など米国の半数の州は、トランスジェンダーの生徒や学生が、出生時に割り当てられた性別と異なる性別の学校スポーツに参加することを禁じる法律や規則を制定している。