欧州

2024.03.15 10:00

ロシア軍、ドローンと大砲の連携高める 今度はウクライナのヘリを破壊

遠藤宗生
だが、そうした状況は昨年変わり始め、今年に入って改革がさらに加速した。ロシア軍は、より高性能な監視ドローンをより多く投入し、より質の高い情報を得て、それを、より強靭なネットワークを通じて、より多くの大砲や攻撃ドローンチームに送るようになった。

英陸軍のブレア・バターズビー下級准尉は米陸軍訓練教義コマンドに寄せた論考で、ロシア軍は「新しい技術を用いてセンサーとシューター(射手や砲手)の連携を向上させている」と解説している。さらに重要なのは、ロシア軍の指揮官が前線部隊に以前よりも大きな裁量を与えているらしいことだ。

ロシア軍はより深くまで監視し、より遠くに、より素早く、より正確に射撃するようになり、長年の欠点のひとつを改善している。これはウクライナ側にとって、これまで享受してきた重要な利点を失うことを意味する。ウクライナ軍の部隊は、ロシア側による目標の捕捉・攻撃が遅いために、比較的自由に動けてきた面があるからだ。

ウクライナ軍の指揮官にとって、部隊を前線から80km以内、とくに日中、むき出しの状態に置けば、もう安全でないことは痛いほど明らかだろう。

ウクライナ軍の指揮官がとれる選択肢は2つだ。ヘリコプターやロケットランチャー、防空システムなどを前線からもっと遠ざけるか。それとも、これらの装備の防護を追加するかだ。ウクライナ側は、ロシア側の監視ドローンをジャミング(電波妨害)するか撃墜すれば、キルチェーンを崩せるかもしれない。たいていの場合、監視ドローンがキルチェーンの起点になるからだ。

そのためにはジャミング装置や防空システムをもっと配備する必要がある。しかし、どちらも需要が高く、供給が足りていないのが現状だ。

もちろん、ウクライナの支援国は協力できるだろう。とはいえ、最大の支援国である米国は、議会で親ロシアの共和党議員らが新たな支援を妨害しているため、この3カ月あまりで1回しかウクライナに兵器を送れていない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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