この抗議行動は、パレスチナを支援する団体のAustin for Palestine Coalition(オースティン・フォー・パレスチナ・コアリション)が、イベントに参加する米国の防衛大手BAEシステムズやRTXコーポレーションの子会社などが、ガザでの戦争に関与していると主張したことを受けて始まった。
同団体は、これらの企業をイベントに招待しないようSXSWに要請し、ガザで進行中の人道危機に人々の目を向けさせるよう求めている。RTXの子会社のコリンズ・エアロスペースは、今年のイベントのスポンサーを務めている。BAEシステムズの広報担当者はメディアの取材に、今年のイベントに参加しないと回答した。
これまで数十人のミュージシャンらが、これらの企業による関与や米軍がこのイベントのスポンサーであることを理由に、フェスティバルへの参加を辞退すると発表した。さらに、アマゾン初の労働組合であるALUの代表のクリスチャン・スモールズや、心理学者のデヴォン・プライス、プリンストン大学のルハ・ベンジャミン教授などのパネリストも参加を辞退した。
オースティン・フォー・パレスチナによると、3月12日時点で80人以上のアーティストが参加を取りやめた。米陸軍のエレン・ラベット報道官はCNNの取材に対して「SXSWのスポンサーであること、そして米国陸軍を紹介する機会を得たことを誇りに思う」と回答している。
イベントボイコットのニュースは、テキサス州のグレッグ・アボット知事とSXSWの主催者の間で、対立を引き起こした。参加を取りやめたバンドのニュースを受けて、アボット知事はX(旧ツイッター)に「戻ってくるな」と書き込み「テキサスは米軍とのつながりを誇りに思っている」と主張した。さらに「嫌なら来るな」と付け加えた。しかし、主催者はこの投稿に対し「SXSWはアボット知事に同意しない」と反発した。
SXSWの主催者は「多様な視点を歓迎する」とし「アーティストたちが言論の自由を行使するために下した決断を十分に尊重する」と述べている。しかし、主催者はガザで「言葉にできない悲劇や紛争の拡大」が起こっていることを認める一方で、防衛産業は「我々が今日依存しているシステムの多くに実験の場を提供している」とも主張している。さらに「これらの組織は、新興のテクノロジーのリーダーであることが多く、我々は、彼らのアプローチが人々の暮らしに与える影響を理解すべきだと考えている」と声明で述べた。
ミュージシャンと労働組合の連合はこの声明に反発し「防衛請負業者は虐殺から利益を得ている卑怯者だ」と書き込んだ。8日に開幕したSXSWは16日までの日程で開催されている。
Squirrel Flower(スクワレル・フラワー)という名前で活動するミュージシャンのエラ・オコナー・ウィリアムズは、インスタグラムの約2万人のフォロワーに向けて「音楽フェスティバルに戦争で儲ける連中を参加させるべきではない」と主張して参加を取りやめた。北アイルランドのヒップホップグループのKneecap(ニーキャップ)は13万5000人のフォロワーに向けて「オーガナイザーが、軍や兵器会社とアートを混ぜ合わせる決定を下したことは許しがたい」と述べて参加を中止した。
(forbes.com 原文)