マイクロプラスチックの体内侵入経路
この世のあらゆるところに存在するようになったプラスチックは、吸い込んだり、食べ物や水を通じて取り込まれたり、皮膚から吸収されたりして血流に入り込む。今回の研究では、マイクロプラスチックとナノプラスチックの両方が血管内で見つかった。マイクロプラスチックは5mm以下の破片と定義されている。もっと小さいものはナノプラスチックとみなされる。これまでの研究では、マイクロプラスチックとナノプラスチックがヒトの便、さらには胎盤や肺、脾臓や肝臓などの多くの組織から発見されている。
有毒なプラスチック添加剤がウミガメや鳥類、魚類、その他の野生生物に害を及ぼしていることはすでに明らかになっているが、プラスチック片の人体への影響についてのデータはこれまで限られていた。
米国立衛生研究所によると、マイクロプラスチックの問題は気候変動とともに深刻になっている。氷河の融解のような異常気象も起こりうるなか、海面上昇や海流の変化によりマイクロプラスチックが運ばれる範囲が広がるからだ。加えて、気温上昇はプラスチック廃棄物が移動する間の劣化を促進する。
ボストンカレッジのランドリガンは、同校の世界の公衆衛生と公益のためのプログラム、そしてプラネタリーヘルス(地球の健康)に関するグローバル・オブザーバトリーの責任者を務めている。ランドリガンは、今回発表された研究は警告、そして行動を呼びかけるものになるべきとの考えを示した。
「医師やその他の医療従事者に何ができるだろうか。第一歩は、プラスチックの低価格と利便性が人の目を欺くものであることを認識することだ。実際、このためにアテローム性動脈硬化のプラークで起こる病状にプラスチックが関係しているかもしれないという、大きな害が覆い隠されている」と研究に付随する論説に書いた。「プラスチック、特に不必要な使い捨て品の使用を減らすよう患者に勧める必要がある」とも指摘した。
(forbes.com 原文)