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2024.03.25 16:00

スタートアップは、「創出」から「成長」支援へ KPMGジャパンが国際イベントを通して覚えた危機感

KPMGが主催するピッチイベント「KPMG Global Tech Innovator Competition」。グローバルで行う意味やメリットは何か。主催者や参加者がそれぞれの立場から語った。


監査・税務・アドバイザリーサービスを143の国と地域で提供しているKPMG。2020年からは、ピッチイベント「KPMG Global Tech Innovator Competition」(以下、GTI)を主催し、世界各国の優れた技術をもつスタートアップを発掘、支援している。23年11月に行われた第3回大会には、世界各国の1,300を超える企業から選ばれた22社が参加し、審査員には事業会社の経営層、起業家、昨年の大会の優勝者が名を連ねた。

KPMG プライベートエンタープライズセクター グローバル代表のコナー・ムーアと、初回から大会の進行を担当しているGlobalive Mediaの共同創業者兼メディアエグゼクティブ・ジャーナリストのミシェル・バンクロフトは、大会の意義を次のように語る。

「不確実性と混乱の時代においても、多くの技術革新者や起業家たちは物事を楽観的に考えています。彼らの既成概念にとらわれない発想とソリューションが、気候変動をはじめとしたグローバルな課題解決の一助として世界から期待されている。我々のようなグローバル企業がそういったテクノロジー新興企業に光を当てることは、これまで以上に重要な責務です」(ムーア)

「KPMGのようなグローバル企業が、大会を通して、素晴らしい技術をもったスタートアップを発掘し、成長させ、その前進が周知されるよう支援することは、より明るく持続可能な未来を可能にする活動です」(バンクロフト)

ミシェル・バンクロフト(左)とコナー・ムーア(右)

大会の進行を務めるミシェル・バンクロフト(左)とKPMG プライベートエンタープライズセクター グローバル代表のコナー・ムーア(右)


GTI出場には各国大会での優勝が必須だ。日本の場合は「KPMG Global Tech Innovator Competition in Japan」(以下、日本予選)がそれにあたる。日本予選の審査員を務める、KPMGジャパン プライベートエンタープライズセクター スタートアップ統轄パートナーの阿部博は、2023年の日本予選について「GTIに劣らぬ高いレベルで、選考でも議論を重ねるほどだった」と振り返る。

その日本予選で優勝を果たし、世界大会に進出したのは、水を推進剤にした小型衛星用エンジンを開発する宇宙スタートアップ、Pale Blueだ。

「日本では数の少ないスペーステックながら、Pale Blueは技術の革新性と新規性が抜きんでていました。イノベーティブなアイデアをもっている企業はほかにもありましたが、成長性、グローバル展開においても期待がもてた」(阿部)

その後、GTIを視察した阿部は、日本と世界のスタートアップの成長速度の違いの要因を、国や投資家からの成長資金だと指摘する。

「日本の場合、シリーズAでは投資金額が多いのに、シリーズが進むごとに減っていきます。日本はまだスタートアップの『創出』に力を入れていますが、世界の目はそこを脱し『成長』に向いている。日本のスタートアップの技術は確かなのに、資金集めに時間を割くことで成長が鈍化してしまう。各国から投資家が集まるGTIを通して、その状況を解消したい」(阿部)

日本と海外スタートアップのビジョンと成長スピードの違い


一方で、GTI参加者にとって海外スタートアップの技術やアイデアに直接触れた経験は、どういった意味をもつのだろうか。

第3回GTI優勝者で、農業廃棄物をプラスティックに代わる環境に優しい製品に変えるという技術をもったPlasticFri(スウェーデン代表)のアレン・モハマディはまず、国の代表に選ばれたことに意味があるという。というのもスウェーデンの首都ストックホルムにおける人口あたりのユニコーン誕生数は、世界2位。スタートアップとイノベーションにあふれる国なのだ。

「その代表として選ばれ、世界の一流スタートアップと競争したうえでタイトルを獲得したことは、我々の独自性を示しています。そのうえ、各領域のエキスパートである審査員から助言を受け、KPMGのネットワークと連携し、メンターに出会えた経験は貴重です」(モハマディ)

日本代表Pale Blueの代表取締役・浅川純もまた、大会を通して得たネットワークとそのスピード感に圧倒されたと語る。


Pale Blueの代表取締役の浅川純

「大会にはスタートアップ企業のほかに、各国の投資家やファウンダーも参加します。彼らと話す機会を得たのですが、技術の話はほとんどなく、事業達成までのマイルストーンとそれに必要な出資の話がとんとん拍子で決まりました。彼らは事業成長を注視しているのだと実感しました」

同じ起業家としては、海外スタートアップのビジョンとそれを実行する力の強さに感化されたという。

「日本では業務効率化を掲げてプロダクトをつくる企業をよく目にしますが、海外では『地球規模の課題をよくしたい』と持続可能性にコミットした企業が多い。彼らは視座が高く、課題分析が的確。Pale Blueも準備をして起業したつもりでしたが、経営は計画通りに行くことはなく、都度見直しながら事業を進めます。そこで決してブレてはいけないのがビジョン。GTIに出場し、そのことをあらためて認識しました」

未熟なままの上場ではグローバル展開は難しい

浅川の言うように、起業家は日々困難を乗り越えながらスケールを目指す。特にPale Blueのように大学発のスタートアップの場合、研究者が経営に乗り出すケースも多く、資金調達以外の経理や人事など不慣れな業務に必要以上のリソースを取られかねない。

「コーポレート面の支援はもちろん、スタートアップは成長フェーズによって必要な人材が異なります。海外では複数社でCEOやCFOを務めた“プロ経営者”がジョインすることもありますが、日本にはそういった文化もない。コンサルティングファームなどを有するKPMGジャパンであれば人材のマッチングはもちろん、協業パートナーを紹介することも可能です」(阿部)


KPMGジャパン プライベートエンタープライズセクター スタートアップ統轄パートナーの阿部博

なぜ同社はここまでスタートアップ支援に注力するのか。

「日本経済を俯瞰すると、現時点でスタートアップの創出からスケールまでの十分な支援をしなければという危機感が非常に強い。ユニコーン企業が10社も出てくれば、日本経済は幅も厚みも出てきます。アメリカを見れば、GAFAM(Google、Amazon、Facebook< 現 Meta>、Apple、Microsoft)がGDPの4分の1を占めているのです。プロダクトやサービスが未熟なまま上場などのイグジットをして国内展開にとどまるのではなく、グローバルでも勝てる企業が必要。そのためのサポートをしたい。まずは7月に開催される2024年度の日本予選で、素晴らしい技術、ユニークなアイデアをもつスタートアップにお会いできるのを楽しみにしています」(阿部)

KPMGジャパン プライベートエンタープライズ
https://kpmg.com/jp/ja/home/industries/private-enterprise.html

あべ・ひろし◎KPMGジャパン プライベートエンタープライズセクター スタートアップ統轄パートナー、あずさ監査法人 常務執行理事 企業成長支援本部 インキュベーション部長 パートナー。

あさかわ・じゅん◎Pale Blue 共同創業者 兼 代表取締役。

コナー・ムーア
◎KPMG プライベートエンタープライズセクター グローバル代表。

ミシェル・バンクロフト◎Globalive Media 共同創業者 兼 メディアエグゼクティブ・ジャーナリスト。

アレン・モハマディ◎PlasticFri 共同創業者 兼 最高経営責任者。

Promoted by KPMGジャパン / text by Kaori Saeki / photographs by Tomohisa Kinoshita

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