欧州

2024.03.13 15:00

ウクライナのロシア人部隊、ロシア2州に同時越境襲撃 一部占拠か

安井克至
仮にウクライナ軍がこの凸部の周囲に砲兵を配置しているとすれば、自由ロシア軍団はいつもの越境襲撃の場合よりも長くチョトキノにとどまれるかもしれない。もっとも、ウクライナ軍は砲弾やロケット弾の確保に苦慮しているだけに、周辺に砲兵がいる可能性は低そうだ。

ウクライナ側にとって最良のシナリオは、自由ロシア軍団がチョトキノに張り付き、ロシア軍部隊が反撃してくるたびに砲兵火力に要請して攻撃を加えてもらい、それを続けることでこの町を、ロシア軍を消耗させる新たな「罠」にすることだ。

もしそうなっても驚くには当たらない。ウクライナ側はこうした罠を仕掛けるのがうまい。アウジーウカもそうだったし、それ以前にはマリンカ、ブフレダル、バフムートでも同様の仕方でロシア軍を消耗させた。

半面、チョトキノが消耗の罠にならなくても驚くべきではない。ウクライナ政府は、新たに数十万人の兵士を召集し、疲弊した旅団の戦力を回復するために、喫緊の、だが不人気な動員法案を慎重に検討しているが、現在は身動きがとれない状態に陥っているようだ。

法案が可決されるまで、身体が健康で丈夫な軍人はウクライナにとって代えのきかないリソースである。越境襲撃は、たとえ消耗の罠にできたとしても、この貴重なリソースの最善の用い方と言えるのかは疑問が残る。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

ForbesBrandVoice

人気記事