そして、凍結卵子専用保険では、卵子バンクを利用した38歳までに採取された凍結卵子を対象としたもので、もしも凍結後、融解までの間に偶発的な事故により、凍結卵子に損害が生じた場合に、採卵および凍結に要した費用として、卵子1個につき最大で2万5000円が支払われるという仕組みだ。
とはいえ、この保険は、卵子凍結を検討する人間が個人で契約する仕組みではなく、LIFEBANKが契約者となって保険料を負担するものだ。
LIFEBANKとすでに契約している人も含め、採卵時38歳までは補償を無料で得ることができる。
この保険は、経済的理由で卵子凍結をためらう女性を後押ししたいという理由で開発され、凍結卵子に関わる保険商品の販売は国内の損害保険会社で初めてとなる。
この保険を皮切りに凍結卵子に関わる保険が普及することで、ライフプランにおける選択肢を広げることにつながってほしい。
筆者はファイナンシャル・プランナーというお金のよろず相談に乗る仕事をしているが、30代以上の共働きカップルが将来設計の相談に見えた際には、家族計画を尋ね、不妊治療や卵子凍結の公的助成の現状や資金などについても触れて、貯蓄による準備を促すケースもこのところ増えてきている。
このような仕事をしていると、「資金があれば選べたはずの選択肢」についてその時点でお金が無いばかりに選ぶことができず、後悔した人たちを少なからず見てきた。
子どもに関わる費用といえば教育費の高騰がよく話題となるが、それ以前の妊娠・出産するまでにかかる費用も実はあなどれない。いつか家を買いたいという人が頭金づくりのための貯蓄に励むように、子どもと暮らす未来を思い描く人なら意識して保険や貯蓄に対する取り組みも大切な時代になってきている。