AI音声識別に「驚くべき世代差」
興味深いことに、この調査はAI音声識別における世代間の違いを明らかにした。45~54歳の個人は、AIの音声を正しく識別した確率が22.9%と最も高く、ミレニアル世代(25~34歳)の精度が12.75%と最も低かったことが明らかになった。これは、年齢とともに経験と懐疑心が増し、本物の声と人工的な声を区別する能力に影響を与えることを示唆している。この調査によって、われわれがAIにどれほど騙されやすいかを知ることの重要性がよくわかるだろう。
音声認識ソフトウェアには、企業や顧客に大きな潜在的リスクをもたらす可能性がある。テレフォンバンキングのセキュリティを迂回し、他人の声を真似て個人情報を入手し、口座にアクセスできてしまうことは、本当に懸念すべきことだ。
調査後、ほぼ半数の回答者(47.6%)が、AI音声がもたらす潜在的なリスクについて懸念を深めた。銀行やその他のサービスにおけるセキュリティ対策として音声認識の利用が増加していることを考えると、この調査結果は、とりわけ現実の問題に直結するといえる。
AIが説得力を持って声を模倣する能力は、詐欺やセキュリティ侵害の増加につながる可能性があり、各業界は検証プロセスを再評価し、強化することが急務だ。
AIリアリズムのリトマス試験紙──サンプルに「著名人の声」
調査では、オプラ・ウィンフリー、バラク・オバマ、そしてハリー王子などの有名人の声を聴き分ける能力にも焦点を当てている。オプラの声が最も正確に識別され、ハリー王子の声が最も難しかったことから、AIが異なる声を再現する能力にはばらつきがあることが分かった。AIが生成した声と本物の人間の声を見分けるというアイデアに興味があるならば、AIが生成した音声の識別に成功したわずか2%の一員になれるかどうか、ぜひ自分のスキルを試してみて欲しい。
テストに挑戦した人の多くが予想以上に難しいと感じ、88%がテストの難しさを認めている。さらに、参加者の84.2%が、AIが生成した声が将来どれだけ簡単に人を欺くことができるかについて懸念を示している。
リングオーバー社のルノー・シャルヴェCEOは、警戒することの重要性を強調している。彼は、AIの音声クローンがますます現実と区別がつかなくなりつつある時代における現実的なステップとして、既知の連絡先からの異常な電話を聴き分けることをアドバイスしている。この研究は、AIが進歩するにつれて、責任を持って対話するためのわれわれの意識と準備が必要であることを思い出させてくれる。
この調査は有名人の声を聴いて行われたものだが、こうしたソフトウェアがいかに正確に他人の声を模倣し、誤解を招く可能性があるかを示している。