教育

2024.03.30

FC今治高校 学園長の岡田武史が導く 「ヒストリック・キャプテンシップ」をもとう!

岡田武史|FC今治代表取締役会長

サッカー日本代表を率いたかつての名将・岡田武史は今、「今治里山スタジアム」を舞台に経営者として采配を振る。今春開校する「FC今治高校」の学園長にも就任し、新しい学びを取り入れ、次世代の人財育成にも取り組むという。


2023年1月29日、J3リーグ FC今治の本拠地「今治里山スタジアム」がオープンした。J3基準を満たす5316人を収容する小さなスタジアムだが、今後カテゴリーが上がればJ1仕様の1万5000人まで収容可能になり、持続可能な成長が期待できる。「365日人が集うスタジアムに」という岡田の思いが込められ、FC今治が運営するカフェ「里山サロン」や複合福祉施設「コミュニティビレッジきとなる」、里山ドッグランなども相次ぎ開設し、地元住民の散歩コースにもなっている。

「初めてのシーズンオフなんで、どれくらい人が集まってくれるかな。今は常連の方が犬を連れて散歩に来てくれたり、週末にフリーマーケットをやってみようかといろんな仕掛けづくりを考えたりしているけど、まだまだにぎわいまでは生み出せていない。まずは地元から、それから県外の都市部からも、心の豊かさを取り戻しに訪れるような場所になってほしい」

この言葉の根底には「次世代のため、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する」というFC今治運営会社の企業理念がある。売り上げや資本金、利益といった数字で表される資本よりも、知恵や信頼、共感といった目に見えない資本を重んじ、心の豊かさを大切にするという考え方だ。実は岡田自身、早稲田大学在学中から40年来、環境問題に関心をもち、環境活動をライフワークとしてきた。今治里山スタジアムは、岡田が思い描く未来への夢や希望を詰め込んだ集大成とも言えるだろう。

そんなスタジアムは、春からは高校生たちの学びのフィールドとしても活用されるようになる。岡田は、今治明徳学園が運営する私立高校をリニューアルして「FC今治高校」を開校し、学園長に就任。FC今治運営会社の会長と兼任している。同校では寮を新設し、全国から男女80人の定員で学生を募り、独自のカリキュラムを展開する。岡田は「サッカーは教えないよ」と笑う。教育の目玉は時代を動かすリーダー「ヒストリック・キャプテン」の養成だ。主体的に動き、どんな難局でも仲間とともに生き抜く新時代のキャプテンとなる人材を今治から輩出したいという。
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文=督あかり 写真=越智祐樹

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年3月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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