この星形成領域(HII領域)NGC604は、地球から約270万光年の距離にある。この領域を出た光がJWSTのカメラに到達するのに270万年かかるため、JWSTの画像ではNGC604の270万年前の姿を見ていることになる。
大質量星
NGC604には、約350万年前に誕生した、非常に若い恒星が200個以上含まれている。これらの恒星は、スペクトル型でB型星やO型星に分類され、夜空で見つけることのできる最も質量が大きく、最も高温の星の1つだ。中には太陽の100倍以上の質量を持つものもある。これほど巨大な恒星がこれほど密集して存在している領域は、宇宙でも非常に珍しい。NGC604は直径が約1300光年もある。
新たな詳細
画像はJWSTに搭載された2台の撮像装置、NIRCam(近赤外線カメラ)とMIRI(中赤外線観測装置)を用いて撮影されたもので、NASAとESAのサイトでそれぞれ個別の画像と合成画像が公開されている。JWSTの最新画像では、NGC604の新たな詳細が明らかになっている。フィラメント状の赤色のガスが全体に広がる中に、巨大な泡(バブル)構造があるのが確認できる。このガスから今まさに若い大質量星が形成されており、大質量星からの恒星風によってガスの中に泡状の空洞ができている。さらに画像では、水素分子(濃い赤)やPAH(多環芳香族炭化水素、明るいオレンジ色の筋)などの星形成活動に関連する分子の存在も確認できる。
100億ドル(約1兆4000億円)をかけて開発された、テニスコートほどの大きさのJWSTは、2021年12月25日のクリスマス当日に打ち上げられ、太陽と地球から受ける重力の釣り合いが取れて安定して滞在できる位置の1つであるラグランジュ点2(L2)から宇宙の観測を行っている。L2は太陽の反対側の、地球から約160万km(地球と月の距離の約4倍)離れたところにある。
(forbes.com 原文)