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2024.03.12

SXSW2024開幕 米国の組織が未来学者を頼る理由

セッション「あなたの組織に未来学者が必要な理由」に登壇した、左からロリ・メリチャー氏、トリスタ・ハリス氏、ジェシカ・クラーク氏

カンファレンスとフェスティバルを融合させた最先端技術などの祭典「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」が、米国南部テキサス州オースティンで開幕した。3月8~16日の日程で、カンファレンスのセッションや映画上映会、アーティストによるライブなどが展開される。
 
今年はAIだけでなく、未来予測をテーマにしたセッションが目立った。企業や団体がフューチャリスト(未来学者、または未来を予測する人)の支援を受けることは、米国においてもはや珍しいことではないようだ。本稿では、筆者がSXSWに参加した理由、そして未来予測がビジネスやマーケティングで重要になっている背景について述べたい。

生成AIは避けて通れない分野 

30年を超える歴史あるイベントに、筆者は今回初めて参加した。基本的にカンファレンス会場に滞在し、AIや未来予測、トレンド、マーケティングのセッションを聴講している。
 
本稿執筆時点で、開幕して3日目ではあるが、今年のセッションは明らかに生成AIが中心だ。未来予測やトレンドのセッションでも、時間を割いて生成AIの活用方法や生成AIが世の中にもたらす影響について解説される。それだけ発達スピードが著しいということだろう。
 
カンファレンスメイン会場のオースティンコンベンションセンター。いたるところに装飾が施されている

カンファレンスメイン会場のオースティンコンベンションセンター。いたるところに装飾が施されている

昨年11月に筆者が参加した、スタートアップとテクノロジーのカンファレンス「ウェブサミット」(ポルトガル・リスボン)でも、出展企業の何割かはオープンAIのAPIを活用していると現地で聞いた。ビジネスが成功するかどうかは別として、もはやスタートアップやテクノロジーといった業界にとって、生成AI(もしくはAI)は避けて通れない分野といえよう。

知識ではなく「考え方」を得るために参加

「何がきっかけでSXSWに参加したのか」「参加目的は何か」。オースティンに来てからというもの、本当によく尋ねられる。もちろん、筆者も相手に参加のきっかけや目的を尋ねる。少なくとも筆者は以下の理由でこうした質問をしている。
 
第一に、様々な「考え方」に触れるためだ。AIが私たちに及ぼす影響があまりにも大きいことに皆気づき始め、また、社会・経済の先行きは見通せない。答えのない時代に突入し、細かい知識や具体的な手法自体の価値は低下。結果、相対的に「どうやって考えるか」(How to think)が重要となった。ビジネスやマーケティングの思想にもつながる話である。参加のきっかけや目的を尋ねることで、相手がどのような方法で考えているのか、どんなビジネスの思想を持っているのかが見える。
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文・写真=田中森士

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