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2024.03.12 11:45

SXSW2024開幕 米国の組織が未来学者を頼る理由

フューチャリストのトリスタ・ハリス氏は、2008年から未来予測を始めた。ハリス氏はかつて、ある財団を運営していた。ところが株式市場が暴落、基金の50%を失った。そんな時、未来予測の本と出合った。危機的状況下でビジネスを有利に進めるために、未来予測をどう活用するかという内容である。ハリス氏は、自分達の組織に必要な視点であると痛感。未来予測の研究を始めたという。それから2~3年で、財団は州に10もの立法案を送り出すことに成功した。未来予測が生きたのである。
 フューチャリストのトリスタ・ハリス氏

フューチャリストのトリスタ・ハリス氏

ハリス氏は「私たちは指数関数的な変化と変革の時代に生きている。私たちの組織(ロバート・ウッド・ジョンソン財団)はそれに備えなければならない。(何かが起こるたびに)常に反応的ではいることは難しい」と強調。その上で、「ポジティブな未来像かネガティブな未来像かを決めるのは、私たちだ。未来へのレジリエンスを構築すれば、組織はより未来に強くなれる」と述べ、どんな変化が起きようとも、組織が備えておくことで、むしろ影響力を強めるチャンスになるとの認識を示した。

ビジネス・マーケティングにも未来予測が重要

 先述の財団の事例は、ビジネス目的の取り組みではない。しかしながら、ビジネスやマーケティングにおいても、未来予測がかつてないほど重要になっていると感じる。
 
事実、米国では新型コロナウイルス感染症のパンデミックの後、未来予測の重要性が盛んに叫ばれるようになった。パンデミックはビジネスにも極めて大きな影響を与えた出来事であったといえる。先述のセッションに登壇したフューチャリストのジェシカ・クラーク氏は、コロナ前の2018~19年ごろ、未来予測の重要性について理解が得られず、様々な場所で説得を行っていた。現在、米国において未来に注意を払うことの重要性については、もはや説明不要なのだという。
 フューチャリストのジェシカ・クラーク氏

フューチャリストのジェシカ・クラーク氏

これからも、新型コロナ禍と同じような出来事、さらに想像を絶する出来事が起こらないとも限らない。あらゆる未来の種は、今存在する。予測シナリオの数が増えることはあり得るが、完全に予測不可能な未来はないと思う。パンデミックしかり、生成AIしかりである。未来に備えておくことで、むしろ何か起きた時に組織が強くなれる。ビジネスやマーケティングの面で速やかに対応でき、ピンチをチャンスに変えることができる。
 
今年のSXSWには、驚くほど多くのフューチャリストが登壇している。中には「近未来予測」の専門家もいた。未来予測の分野についても、細分化が進んでいるようだ。コンサルタントとして活動する者も多い。米国ではそれだけ需要も大きいのであろう。筆者自身も、今回の経験で重要性を痛感した。日本にもこうした視点が広まってくれることを願う。

文・写真=田中森士

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