建築家は、建物の設計に責任を負う。その責任の範囲には、外観だけでなく、建物全体の完全性も含まれる。建設業者は、日々の建設業務を管理する。どちらの役割も重要だが、建設業者の活動は、設計者(建築家)のビジョンを実現するためにある。
マンガーとバフェットがそれぞれ果たした役割をこれほどうまく表す比喩は、そうそう見つからないだろう。だからこそ、書簡を読んだ者の心に否応なく響くのだ。
たとえ話の達人、バフェット
バフェットが考え抜かれたたとえ話を繰り出すのは、これが初めてではない。ウォールストリート・ジャーナルは2024年の書簡についての補足情報として、ほぼ60年分の書簡から記憶に残るバフェットの語録をいくつか抜粋している。目を引くのはどれも、たとえ話を用いたものだ。いくつか紹介しよう。
「たびたび起こる恐怖と貪欲という極めて伝染性の高い2つの病の流行は、この先も永遠に投資界を襲い続けるだろう。いつ流行が始まるかは予測できない。(中略)われわれの目標は、ただひたすら、他者が貪欲になっているときには恐れ、他者が怖がっているときには貪欲になることである」(1987年)
「投資は野球と同じで、スコアボードに得点を書きこむためには、スコアボードではなくフィールドをよく見なければならない」(1992年)
「潮が引いて初めて、誰が裸で泳いでいたのかがわかる」(1993年)
「強気相場では、土砂降りの嵐の後にこれ見よがしにガアガア鳴きながら羽づくろいにいそしみ、水かきが上手だったから物事がうまくいったのだと考えるカモのような過ちを犯してはならない。きちんと思考できるカモなら、むしろ豪雨のあとの自分の位置を、池にいる他のカモと比較するだろう」(1998年)
バフェットはかつて、自分の目標はシェイクスピアのような文章を書くことではなく、「情報を伝えたいという真摯な願い」を持つことだと語っている。そのとおりかもしれないが、実際のところ、バフェットの修辞技法はシェイクスピアの典型的なスタイルそっくりだ。そしてその技法、つまり比喩とたとえ話の巧みな活用は、バフェット自身のレガシーの構築に貢献している。
(forbes.com 原文)